動産譲渡登記制度を利用する動産担保による融資

動産譲渡登記制度を利用する動産担保による融資

企業が保有する動産を担保に融資を行う場合、動産譲渡担保権設定契約を締結し、対抗要件を具備するため動産譲渡登記が利用されています。
ここでは、動産譲渡登記制度について司法書士が説明致します。

譲渡担保とは

@譲渡担保権設定契約の締結
融資を受ける企業が有する資産(不動産、動産、債権等その権利の種類を問いません。)の所有権を金融機関等の債権者に移転(譲渡)します。

 

A担保権の実行方法
融資を受けた企業(譲渡担保権設定者)が返済不能となった場合、譲渡担保権者である金融機関等は、譲渡担保の目的物を売却してその代金を返済金に充てる(清算型)又は返済に代えて譲渡担保の目的物の所有権を完全に取得する(流質型)ことにより債権回収を図ります。

 

B受戻し
譲渡担保権設定者が融資金を全額返済すると譲渡担保の目的物の所有権は譲渡担保権設定者に再び戻ってきます。

 

動産担保による融資は譲渡担保が利用されます
企業が保有する在庫商品、機械設備、家畜等の動産を担保に融資を受ける場合、この譲渡担保が利用されています。

 

動産譲渡登記制度

譲渡担保権を一般債権者等の第三者に対抗するためには、対抗要件を具備する必要があります。
ここで言うところの対抗要件とは、譲渡担保権を当事者以外の第三者(一般債権者等)に対して主張することができる要件のことを言います。この対抗要件を備えていることにより譲渡担保権者は、一般債権者等の第三者に優先して譲渡担保の目的物から弁済を受けることができることになります。

 

民法では、動産を譲渡した場合の第三者対抗要件は引渡しとされています。

 

そして「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する特例等に関する法律」で定める動産譲渡登記がなされると動産の引渡しがあったものとみなされ動産譲渡の第三者対抗要件を具備することができます。
(ただし、動産譲渡登記を利用できるのは、譲渡人(譲渡担保権設定者(動産所有者))が法人に限られていますので、譲渡人が個人事業者の場合は動産譲渡登記を利用することができません。)

 

金融機関が動産担保により融資を行う場合、第三者対抗要件を確実に具備するために動産譲渡登記の申請を求めるのが一般的です。

 

動産譲渡登記の特徴

確実な第三者対抗要件の具備
動産譲渡登記がなされることにより、民法で定める動産譲渡の第三者対抗要件である引渡しがあったものとみなされ、より確実に第三者対抗要件を具備することができる。
(譲渡があったことを登記により公示することができるため、当該動産取引を行う者が登記の有無の確認調査を怠った場合、有過失が推定される。)

 

管轄法務局は東京法務局のみ(全国1ヶ所)
東京法務局民事行政部動産登録課
(庁舎は東京法務局中野出張所が入っている建物の3階)

 

申請方法は、@書面方式、A事前提供方式、Bオンライン方式の3種類
@の書面方式は、登記申請書、添付書面及び申請データを登記所窓口に持参又は郵送する方法で、持参の場合は登記申請書等を窓口に提出したときに受付がなされ、郵送の場合は登記申請書等が登記所に到達した日の翌執務日の午前8時30分に受付がなされます。

 

Aの事前提供方式は、申請データを事前にオンラインで送信し、別途登記申請書及び添付書面を登記所窓口に持参又は郵送する方法で、持参の場合は登記申請書等を窓口に提出したときに受付がなされ、郵送の場合は登記申請書等が登記所に到達した日の翌執務日の午前8時30分に受付がなされます。

 

Bのオンライン方式とは、登記申請書、添付書面及び申請データをオンラインにより送信する方法で、登記所に到達すると自動的に受付がなされます。

 

登記の存続期間は原則10年
動産譲渡登記の存続期間は10年を超えることができません。

 

存続期間10年を超える動産譲渡登記を申請するには、特別の事由があることが必要になります。
特別の事由とは、融資金の最終弁済期が10年を超えるような場合です。

 

存続期間10年を超える動産譲渡登記を申請する場合、添付書面として特別の事由があることを証する書面を提出する必要があります。

 

具体的には、譲渡担保権設定契約書が該当しますが、当該譲渡担保権設定契約書に最終弁済期に関する定めが記載されていない場合は、金銭消費貸借契約書も提出する必要があります。

 

契約書は原本を提出しますが、原本を提出することができない場合は、原本証明した写しを提出することも可能です。原本証明は譲渡人及び譲受人の双方が行うのを原則としますが、譲渡人のみが行う原本証明も認められています。また、押印の有無は審査の対象にはならないとのことです。

 

補正が認められない
不動産登記や商業登記の場合、申請に軽微な不備があったとしても申請が却下されることなく、補正による対応が認められていますが、動産譲渡登記の場合、申請に不備があると補正が認められず直ちに申請却下となります。

 

なお、実務では、却下事由があることを条件に申請を取下げることが認められていますので、申請の際、取下書も一緒に提出することが行われています。

 

申請却下の場合、一度提出した添付書面等は返却されないのに対し、申請取下であれば提出した添付書面等の返却を受けることができますので、登記申請書等と一緒に取下書を提出しておくメリットがここにあります。

 

動産譲渡登記の費用

動産譲渡登記の申請手続きを代行することができるのは司法書士になります。
当事務所に動産譲渡登記の申請手続きを依頼された場合の費用は次のとおりです。

 

司法書士報酬 66,000円〜(申請1件につき)
登録免許税   7,500円(申請1件につき)
登記事項証明書
 個別事項(動産の個数が1個)  1通800円
 一括事項(動産の個数が2個以上)1通800円+((動産の個数−1)×300円)
  ※動産の個数が2個であれば1,100円、3個であれば1,400円

 

登記のご相談、ご依頼は名古屋の司法書士八木隆事務所へ

登記に関することならどんな些細なことでもお気軽にお問い合わせください。

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  052-848-8033

 

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(複雑で調査を要するお問い合わせは、回答までにお時間を頂くことがございます。)

 

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