賃借権の登記を抹消するための手続

賃借権の登記
賃借権は登記することが認められており、登記することにより第三者に対して、賃借権を主張することができようになります。

 

ただし、賃借権は債権であることから、賃貸人が登記することを承諾した場合に限り、賃借人は賃貸人に対して登記手続を請求することができるとされています。

 

建物所有を目的とする賃借権及び地上権を、借地権といい、借地借家法が適用されます。
借地権は賃借権(地上権)の登記がなくても、所有建物の登記があれば第三者に対抗できるため、賃借権が借地権の場合、賃借権の登記がなされることは少ないと言われています。

 

駐車場や資材置場として利用している場合は、借地借家法の適用を受けないので、この賃借権を第三者に対抗するには、賃借権の登記を行う必要があります。

 

【賃借権の登記記録例】

順位番号 登記の目的 受付年月日・受付番号 権利者その他の事項
何番 賃借権設定

明治○年○月○日
第○号

原因 明治○年○月○日設定
借賃 1月○円
存続期間 ○年
特約 譲渡、転貸ができる
賃借権者 住所
     何某

 

 

賃借権の登記を抹消するための手続

賃借権の抹消原因
賃借権は、存続期間満了、混同、消滅時効、合意解除、放棄等により消滅します。
これらの抹消原因が存在すれば、賃借権の登記を抹消することができます。

 

 

@賃借権者の協力が得られる場合(共同申請)
登記義務者である賃借権者が判明しており、その者の協力が得られる場合は、登記権利者である土地の所有者と登記義務者である賃借権者が共同して賃借権抹消登記を管轄の法務局に申請します。

 

賃借権者が死亡している場合
賃借権者が既に死亡している場合で、その者の相続人が判明しており、その者の協力が得られるのであれば登記権利者である土地の所有者と賃借権者の相続人全員が共同して法務局に賃借権抹消登記を申請することができます。

 

抹消に係る登記原因以前に相続が開始している場合、相続による賃借権移転登記が必要になります。
抹消原因を存続期間満了とする場合で、存続期間満了前に、登記名義人である賃借権者が死亡しているような場合に、賃借権の移転登記が必要になります。

 

A賃借権者の所在が不明の場合
賃借権者の所在が不明であり、その協力を求めることができないと、共同申請による賃借権の抹消登記はできません。このような場合、公示催告手続が利用できるかどうかを検討します。

 

賃借権者の所在が不明であり、実体上、賃借権が不存在又は消滅していることが証明できる場合、公示催告手続(除権決定)が利用できます。

 

賃借権の存続期間が登記されている場合、存続期間満了により賃借権が消滅していることを比較的容易に証明できますが、存続期間が登記されていない場合、実体上、借地権が消滅していることを証明するのは困難になります。

 

借地権者の所在不明とは
・賃借権者の現在の所在もその死亡の有無も不明な場合
・賃借権者の死亡は明らかであるが相続関係が不明の場合
・その相続人は判明しているが、その所在が不明な場合

 

公示催告手続による除権決定とは
公示催告の申立をして除権決定を得ることができれば、管轄法務局に除権決定書等を提供することにより、土地の所有権者は、単独で賃借権の抹消登記を申請することが可能になります。

 

B賃借権者の協力が得られない場合
地上権抹消登記の申請につき、賃借権者の任意の協力が得られない場合は、抹消登記手続請求訴訟を提起することになります。

 

賃借権抹消登記手続請求訴訟で勝訴できれば、管轄法務局に判決書を提供することにより、土地の所有権者は、単独で賃借権抹消登記を申請することが可能になります。

 

 

賃借権の登記でお困りの方へ

明治時代〜昭和初期に設定された古い賃借権の場合、賃借権者に相続が発生していることが多く、この場合、相続人調査が必要になります。
調査の結果、相続人が判明した場合でも、相続人全員の協力を得ることが必要なため、その一部の協力が得られないと、裁判手続きを利用しなければなりません。そもそも、相続人が判明しないこともあります。

 

このように何十年も前の相続が絡んでくると手続きが煩雑になり、賃借権の登記を抹消するまでに、多くの時間と費用を要することが珍しくありません。

 

賃借権者が会社等の法人の場合、すでに解散しており、現在存在していないこともあります。
当該法人の閉鎖謄本がとれないケースもあります。
このような場合、法人調査も困難を極めることがあります。

 

 古い賃借権の抹消手続は、休眠担保権の抹消手続と同様に、登記の専門家である司法書士にとっても、非常に困難な登記の一つと言えます。

 

このような既に実体のない賃借権の登記でお困りの方は、是非司法書士のご相談ください。

 

 

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