地上権の登記を抹消するための手続

地上権の登記がなされている土地を売買するには、この地上権の登記を抹消した上で、引き渡すのが一般的です。

 

明治時代〜昭和初期に設定された古い地上権の場合、地上権者に相続が発生していることが多く、この場合、相続人調査が必要になります。
調査の結果、相続人が判明した場合でも、相続人全員の協力を得ることが必要なため、その一部の協力が得られないと、裁判手続きを利用しなければなりません。そもそも、相続人が判明しないこともあります。

 

このように何十年も前の相続が絡んでくると手続きが煩雑になり、地上権の登記を抹消するまでに、多くの時間と費用を要することが珍しくありません。

 

古い地上権の抹消手続は、休眠担保権の抹消手続と同様に、登記の専門家である司法書士にとっても、非常に困難な登記の一つと言えます。

 

このような既に実体のない地上権の登記でお困りの方は、登記専門家である司法書士にご相談ください。

 

 

以下、地上権の登記を抹消する方法について解説致します。

 

地上権とはどのような権利か
不動産登記の権利部は、甲区と乙区に分かれています。
甲区には所有権に関する登記の登記事項が記録されており、乙区には所有権以外の権利に関する登記の登記事項が記録されています。

 

地上権は、所有権以外の権利として、不動産登記記録(登記簿)の乙区に記録されています。
以下に、地上権の登記記録例を記載しておきます。

 

【地上権の登記記録例】

順位番号 登記の目的 受付年月日・受付番号 権利者その他の事項
何番 地上権設定

明治○年○月○日
第○号

原因 明治○年○月○日設定
目的 建物所有
存続期間 明治○月から明治○年○月まで○年間
地代 年○円
支払期 毎年○月末日
地上権者 住所
     何某

地上権の内容
地上権とは、工作物又は竹木を所有するために他人の土地を使用することできる権利です。
地上権は、土地の所有者と地上権を取得する者との間の地上権設定契約の締結により生じます。
地上権は登記することにより第三者(地上権が設定された土地を取得した者等)に対してその権利を主張することできます。

 

古い時代から現在に至るまで、建物所有を目的として他人の土地を貸し借りするには、賃貸借契約を締結することがほとんどで、地上権設定契約を締結することは極めて稀なことです。
しかしながら、地上権の設定がまったくなかったわけではないので、ごく稀にその登記を見ることがあります。

 

地上権の登記を抹消するにはどうすればよいか

@地上権者の協力が得られる場合(共同申請)
登記義務者である地上権者が判明しており、その者の協力が得られる場合は、登記権利者である土地の所有者と登記義務者である地上権者が共同して地上権抹消登記を管轄の法務局に申請します。

 

地上権者が死亡している場合
地上権者が既に死亡している場合で、その者の相続人が判明しており、その者の協力が得られるのであれば登記権利者である土地の所有者と地上権者の相続人全員が共同して法務局に地上権抹消登記を申請することができます。

 

抹消に係る登記原因以前に相続が開始している場合、相続による地上権移転登記が必要になります。
抹消原因を存続期間満了とする場合で、存続期間満了前に、登記名義人である地上権者が死亡しているような場合に、地上権の移転登記が必要になります。

 

A地上権者の所在が不明の場合
地上権者の所在が不明であり、実体上、地上権が不存在又は消滅していることが証明できる場合、公示催告手続(除権決定)が利用できます。

 

地上権の存続期間が登記されている場合、存続期間満了により地上権が消滅していることを比較的容易に証明できますが、存続期間が登記されていない場合、実体上、地上権が消滅していることを証明するのは困難になります。

 

地上権者の所在不明とは
・地上権者の現在の所在もその死亡の有無も不明な場合
・地上権者の死亡は明らかであるが相続関係が不明の場合
・その相続人は判明しているが、その所在が不明な場合

 

公示催告手続による除権決定とは
公示催告の申立をして除権決定を得ることができれば、管轄法務局に除権決定書等を提供することにより、土地の所有権者は、単独で地上権の抹消登記を申請することが可能になります。

 

B地上権者の協力が得られない場合
地上権抹消登記の申請につき、地上権者の任意の協力が得られない場合は、抹消登記手続請求訴訟を提起することになります。

 

地上権抹消手続請求訴訟で勝訴できれば、管轄法務局に判決書を提供することにより、土地の所有権者は、単独で地上権抹消登記を申請することが可能になります。

 

 

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