除権決定による権利登記の抹消手続

抵当権等の権利の登記を抹消するには、登記権利者(不動産の所有者)と登記義務者(抵当権者等)が共同して抹消登記を申請するのを原則としますが、登記義務者の所在が知れないため登記義務者と共同して権利の登記の抹消登記を申請することができないときは、公示催告の申立をし、除権決定を得ることにより、登記権利者が当該権利の登記について、単独で抹消登記を申請することができることになっています。
これを除権決定による抹消登記などと呼んでいます。

 

除権決定による登記の抹消手続の流れ

簡易裁判所に公示催告を申立て、除権決定を得た後、除権決定書等を添付して管轄法務局に抹消登記を申請します。

公示催告手続

公示催告手続とは
公示催告手続とは、公示催告によって当該公示催告に係る権利につき失権の効力を生じさせるための一連の手続をいいます。

 

公示催告の申立は、法令にその届出をしないときは当該権利につき失権の効力を生ずる旨の定めがある場合に限り、することができるとされており、不動産登記法第70条第1項の定めにより、「登記権利者は、登記義務者の所在が知れないため登記義務者と共同して権利に関する登記の抹消を申請することができないときは、非訟事件手続法第99条に規定する公示催告の申立てをすることができる。」とされていることから、登記義務者の所在が知れないため権利に関する登記の抹消を共同して申請できないときは、登記権利者は公示催告の申立を行うことができると解されています。

 

公示催告申立ての管轄裁判所
公示催告は、公示催告に係る権利を有する者の普通裁判籍の所在地又は当該公示催告に係る権利の目的物の所在地、当該権利が登記又は登録に係るものであるときは、登記又は登録をすべき地を管轄する簡易裁判所に申立てます。

 

公示催告の決定
申し立てが適法であれば公示催告開始の決定がなされ、次に掲げる事項を内容とする公示催告をする旨の決定がなされます。
1 申立人の表示
2 権利の届出の終期の指定
3 前号に規定する権利の届出の終期までに当該権利を届け出るべき旨の催告
4 前号に掲げる催告に応じて権利の届出をしないことにより生ずべき失権の効力の表示

 

公示催告についての公告
公示催告の内容を、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、官報に掲載する方法によって行われます。

 

公示催告の官報掲載例

平成○年(へ)第○号
次の申立人から別紙目録表示の権利について公示催告の申立てがあったので、その権利者は、下記権利の届出の終期までに当裁判所に権利を届け出てください。もし下記権利の届出の終期までに権利の届出がない場合には、その権利は失権することがあります。
○○市○○町○○番地○
申立人 ○○ ○○
権利の届出の終期 令和○年○月○日
令和○年○月○日   ○○簡易裁判所
(別紙)目録
1(1)土地 ○○市○○町○○番地○
宅地 ○○○・○○平方メートル
2 登記年月日番号 ○○地方法務局昭和○年○月○日受付第○○号
3登記した権利の内容
登記の目的 賃借権設定
原因 大正○年○月○日設定
賃料 1年35円
支払期 毎年12月6月各25日
存続期間 10年
賃借権者 ○○郡○○○○ ○○番地
     △△ △△

 

除権決定

除権決定とは、公示催告において催告された権利の届出を、届出の終期までになされなかった場合に、当該権利にいて失権の効果を生じさせる裁判のことをいいます。

 

失権の効果
除権決定により実体上の権利が消滅するのではないとされており、公示催告申し立ての前提として抹消すべき登記に係る実体上の権利が消滅している必要があるとされています。

 

失権の効果は、登記に係る権利の消滅を前提として、登記権利者が単独で抹消登記を行うことができるようにするものとされています。

抵当権設定登記を抹消するには、被担保債権が弁済、消滅時効等により消滅している
賃借権、地上権設定登記を抹消するには、存続期間の満了により賃借権、地上権が消滅している
所有権移転請求権仮登記を抹消するには、予約完結権が消滅時効により消滅している

 

除権決定の公告
除権決定がなされるとその旨が官報に掲載されます。

 

「除権決定」の官報掲載例

平成○年(へ)第○号
次の申立人の申立てによって別紙目録表示の権利について公示催告をしたところ、定められた下記権利の届出の終期までに適法に権利の届出又は権利を争う旨の申述をする者がなかったので、前期権利は失権する。
○○市○○町○○番地○
申立人 ○○ ○○
権利の届出の終期 令和○年○月○日
令和○年○月○日   ○○簡易裁判所
(別紙)目録
1(1)土地 ○○市○○町○○番地○
宅地 ○○○・○○平方メートル
2 登記年月日番号 ○○地方法務局昭和○年○月○日受付第○○号
3登記した権利の内容
登記の目的 賃借権設定
原因 大正○年○月○日設定
賃料 1年35円
支払期 毎年12月6月各25日
存続期間 10年
賃借権者 ○○郡○○○○ ○○番地
     △△ △△

 

除権決定による権利登記の抹消登記

「除権決定があったことを証する情報」を添付することにより、登記権利者が単独で、当該権利の抹消登記の申請をすることができます。

 

登記申請情報として登記原因及びその日付を提供する必要があります。
登記原因及び日付は、実体上の権利が消滅した原因及び消滅した日になります

 

 

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