
買戻特約とは
売主は、売買契約と同時に当該不動産の買戻しを特約することにより、買主が支払った売買代金及び契約費用を返還して売買契約を解除することができます。
このような契約を買戻特約付売買契約と呼んだりします。
この特約を第三者に対して主張するには、売買による所有権移転登記と同時に買戻特約の登記を行う必要があります。
買戻特約は地方公共団体、住宅公社等が土地を売却する際、買主に用法違反があった場合に買主から土地を取り戻すための手段として利用されることがあります。
また、債権担保目的のため買戻特約がなされることがあります。
占有移転を伴わない買戻特約付の不動産売買契約は、特段の事情がない限り、債権担保の目的で締結されたものと推認され、その性質は譲渡担保契約と解されます。(最判平成18年2月7日)
売買による所有権移転登記の付記する形で登記されます。(付記登記)
順位番号 | 登記の目的 | 受付年月日・受付番号 | 権利者その他の事項 |
1 | 所有権移転 | 省略 | 所有者 甲野太郎 |
2
付記1号 |
所有権移転 |
平成○年○月○日 |
原因平成○年○月○日売買 |
買戻特約 |
平成○年○月○日 |
原因 平成○年○月○日特約 |
買戻期間
契約当事者は買戻期間を民法の規定により最長10年の範囲内で定めることができます。
10年を超える期間を定めたときは、その期間は10年間に短縮されます。
買戻期間を定めたときは、その期間を登記しなければ第三者に対抗することができません。
買戻期間を定めなかったときは、5年以内に買戻権を行使しないと買戻権は消滅することになります。
買戻権の行使
買戻権者が買主に対して買戻しの意思表示をすることにより買戻しの効果が生じ、売買契約は解除され、売買された不動産の所有権が売主に戻ります。
所有権が第三者に移転している場合
所有権が買主から第三者へ移転している場合の買戻権の行使の相手は、買主ではなく第三者になります。
買戻特約付売買の法的性質は、解除権留保付売買契約と解されていますので、買戻権の行使があった場合、権利変動の過程を正確に登記記録に反映するのであれば、所有権抹消登記をすべきであると解されますが、登記実務においては、買主から売主への所有権移転登記の形式をとります。
買戻権行使による所有権移転登記が申請されると、買戻特約の登記は登記官の職権により抹消されます。
買戻権行使による所有権移転登記は、登記権利者である売主と、登記義務者である買主が共同して申請するのを原則とします。(共同申請の原則)
登記義務者である買主が所有権移転登記に協力してくれないときは、買主を被告として所有権移転登記請求訴訟を提起します。
この訴訟において給付判決を得れば、登記権利者である売主は、単独で所有権移転登記を申請することができます。
買戻特約の合意解除、買戻期間の満了等により、買戻権が消滅したときは、買戻特約の抹消登記を申請します。
買戻特約の抹消登記は、登記権利者である所有権登記名義人と、登記義務者である買戻権者が共同して申請するのを原則とします。
買戻権者が地方公共団体、地方住宅公社等の場合の買戻特約の抹消登記は、買戻権者の嘱託によりなされます。
買戻権が消滅したにもかかわらず、買戻権者が買戻権特約の抹消登記に協力してくれないときは、買戻権者を被告として、買戻特約抹消登記請求訴訟を提起します。
この訴訟において給付判決を得る事ができれば、所有権登記名義人は単独で買戻特約の抹消登記を申請することができます。
買戻権の登記のことなら、不動産登記の専門家である司法書士にご相談ください。
・不動産を売却するにあたり買戻し特約を締結したい。
・買戻権を行使したので所有権移転登記をお願いしたい。
・買戻権が消滅したので、抹消登記をお願いしたい。
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