
仮差押とは
将来の強制執行申立てに備えて、強制執行の前に債務者の財産を仮に差し押さえ、その処分を封ずる裁判所の保全処分のことをいいます。
債務者の不動産について仮差押の申立てを行うと、裁判所の嘱託により仮差押の登記がなされます。
【仮差押の登記がされた登記記録例】
登記の目的 | 受付年月日・受付番号 | 権利者その他の事項 | |
2 | 所有権移転 |
平成30年3月3日 |
原因 平成30年3月3日売買 |
3 | 仮差押 |
原因 令和1年10月10日○○地方裁判所仮差押命令 |
仮差押の登記は、仮差押命令を発した裁判所名、仮差押を申立てた債権者の住所及び氏名が権利部の甲区になされます。
仮差押の登記がなされている不動産であっても、法律上、その名義変更の登記(所有権移転登記)をすることは可能ですが、実際の不動産取引では仮差押の登記を抹消しなければ売却することができません。
不動産売買契約において、売主は他人の権利が設定されていない不動産を買主に引き渡さなければならないと定めるのが一般的です。
仮差押の登記を抹消するには、裁判所が発した仮差押命令を取り消してもらう必要があります。
債務者としては、仮差押解放金を供託する方法、裁判所から債権者に対して、本案の起訴をするように命じることを申立て、その起訴がなかった場合に仮差押命令の取り消しを申立てる方法、事情が変更した場合に仮差押命令の取消しを申立てる方法等がありますが、一般的に使われる方法として、債権者に仮差押命令の申立てを取下げてもらう方法があります。
この方法は当然のことですが、債権者の協力が必要になり、残債務を弁済するか、別に担保を提供するか等債権者に納得してもらう必要があります。
債権者に仮差押命令の申立てを取下げてもらう方法により、仮差押の登記を抹消する場合、特に長期間放置されている仮差押登記の抹消は、非常に困難な場合があります。
債権者の所在が判明しない
仮差押の登記から長期間経過していると、債権者の所在等が判明しないことがあります。
債権者に相続が開始している
債権者が既に死亡し相続が開始していると、相続人を調査・確定する必要があります。
相続人が判明したら、相続人にアプローチし、その協力をお願いすることになる。
必要書類の取得が困難なことがある。
仮差押命令の申立ての取下には、仮差押命令の事件番号を特定する必要があるが、仮差押から長期間経過している場合、事件番号が判明しないことがあります。
事件番号は仮差押命令決定正本、仮差押命令決定通知書から判明しますが、仮差押命令から長期間経過している場合、これらの書面を紛失していることが考えられます。
また、仮差押登記の嘱託書の添付書類として仮差押命令決定正本が提供されていますので、管轄の法務局にこれが保管されていますが、保管期間は原則30年となっています。(平成20年以前は10年間の保存)
1 仮差押債権者の調査
不動産登記事項証明書に記載されている債権者の氏名及び住所をもとに、戸籍謄本等を取得し、債権者の所在を明らかにします。
戸籍の調査により、債権者が死亡していることが判明したときは、その相続人を調査する必要があります。
仮差押債権者が死亡している場合、原則その相続人全員の協力が必要になります。
2 仮差押債権者等の交渉
仮差押債権者の所在が判明したときは、仮差押債権者にアプローチし、仮差押命令の申立てを取下げてもらいます。
3 仮差押命令申立ての取下げ
管轄の裁判所に仮差押命令申立ての取下げを行います。
仮差押命令申立ての取下げに必要な書類(裁判所ホームページより抜粋)
取下書
・正本1通(当事者目録、物件目録を合綴したもの)
・副本(正本と同様のもの)×債務者の数
登記権利者義務者目録(法務局用)
法務局1箇所につき 2通
(債権者が登記義務者、債務者が登記権利者になります。)
物件目録(法務局用)
法務局1箇所につき 2通
予納郵券
・法務局1箇所につき 519円×1組、529円×1組
・債務者の数×84円(94円)
登録免許税(収入印紙)
物件1個(区分所有建物につき、敷地権は1筆につき1個と数える)につき 1,000円。但し、物件が法務局1箇所につき20筆以上の場合については定額20,000円
不動産全部事項証明書
(保全処分発令後3年を経過した事件、及び、登記に変更がある場合に必要です。不動産全部事項証明書は1か月以内のもの)
4 裁判所からの仮差押登記抹消の嘱託
裁判所から登記所へ仮差押登記の抹消登記の嘱託がなされ、仮差押登記の抹消登記がなされる。
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