所有権持分の更正登記

共働きの夫婦が住宅を購入するとき、その購入資金を夫婦共同で負担する場合があります。
そのようなときに、実際の購入資金の負担割合と所有権登記の持分割合が異なっている場合には、贈与税の問題が生ずることがあります。
例えば、総額3,000万円の住宅を購入し、夫が2,000万円、妻が1,000万円の資金負担をしたものの、所有権の登記は夫と妻それぞれの持分を2分の1とした場合です。
この場合、妻の所有権は登記持分の2分の1ですから、3,000万円の2分の1の1,500万円となります。しかし、購入のための資金は1,000万円しか負担していませんから、差額の500万円については夫から妻へ贈与があったことになります。
この場合、資金の負担割合に応じて夫3分の2、妻3分の1の所有権登記がなされていれば、贈与税の問題は生じません。

 

上記は、『国税庁ホームページ・タックスアンサーNo.4411共働きの夫婦が住宅を買ったとき』から引用した文書です。
このタックスアンサーでは、不動産(住宅)を共同で購入したときの登記の持分割合を、実際の購入資金の負担割合に一致させていれば贈与税の課税問題は発生しないが、登記の持分割合と購入資金の負担割合が不一致の場合は、贈与税の課税問題が生じることがあることが述べられています。

 

では、実際の購入資金の負担割合が夫3分の2、妻3分の1であるにも関わらず、夫2分の1、妻2分の1の持分割合で登記を完了してしまった場合、正しい持分(夫3分の2、妻3分の1)に登記を変更するにはどうすればよいのでしょうか

 

持分の更正登記

この場合、持分の更正登記を行うことにより正しい持分に訂正することが可能です。
更正登記とは、登記がなされた当初から登記事項に錯誤又は遺漏があって実体関係との間に不一致があるものを、登記と実体関係を一致させるために行う登記のことを言います。

 

共有持分割合の更正登記

夫2分の1・妻2分の1の持分割合の登記を、夫3分の2・妻3分の1の持分割合に更正する登記の手続き

 

申請人
更正登記により持分が増加する夫が登記権利者、更正登記により持分が減少する妻が登記義務者として共同で申請します。

 

添付書類
・登記原因証明情報
・妻の登記識別情報
・妻の印鑑証明書(作成後3ヶ月以内のもの)
・委任状(代理人により申請する場合)

 

銀行等の抵当権設定登記がなされている場合
不動産を購入するにあたり、銀行等の融資を受け当該銀行名義の抵当権設定登記がなされている場合、持分更正登記の申請に抵当権者である銀行等の承諾が必要になるかどうかですが、不動産全体が抵当権の目的になっているときは、抵当権者の承諾は必要はありません。
ただし、承諾が不要というのは、登記手続き上不要と言うことであり、銀行等に無断で更正登記を申請するとローン約款等に抵触する場合がありますので、更正登記を申請する場合には、事前にその旨を銀行等に知らせておいた方が良いでしょう。

 

単独名義から共有名義への更正登記

総額3,000万円の住宅を購入し、夫が2,000万円、妻が1,000万円の資金負担をしたにもかかわらず、所有権の登記は夫の単独名義にした場合に、夫3分の2、妻3分の1の共有名義に訂正する更正登記の手続き

 

この場合、妻から夫へ1,000万円の贈与があったものとみなされることがあります。
贈与税が課税されないためには、更正登記により正しい持分割合に登記を修正しておく必要があります。

 

本ケースで注意して頂きたいのは、登記申請人と利害関係人です。
妻(登記権利者)と夫(登記義務者)だけでなく、前所有者(売主)も登記義務者として登記申請人となることです。

 

この更正登記の実質は、夫の所有権の一部抹消登記と、前所有者から妻へ持分(3分の1)移転の登記ですので、前所有者を登記手続きに関与させることにしています。
更正登記を申請するには、前所有者の協力(登記識別情報の提供と印鑑証明書の提出)が必要になります。

 

利害関係人
登記上利害関係を有する第三者がいるときは、その者の承諾がなければ更正登記ができませんので、更正登記の申請するには、第三者の承諾書(印鑑証明書付)を添付する必要があります。
例えば、夫が単独名義で取得した自宅不動産に、購入資金の融資を受けたX銀行の抵当権設定の登記がなされている場合、夫単独名義から夫・妻の共有名義とする更正登記をするには、X銀行の承諾書が必要になります。

 

共有名義から単独名義への更正登記

総額3,000万円の住宅を購入し、夫が全額、資金負担をしたにもかかわらず、所有権の登記は夫3分の2、妻3分の1の共有名義にした場合に、夫の単独名義に訂正する更正登記の手続き

 

この場合、夫から妻へ1,000万円の贈与があったものとみなされることがあります。
贈与税が課税されないためには、更正登記により夫の単独名義に登記を修正しておく必要があります。

 

単独名義から共有名義への更正登記と同様に、前所有者の協力と、利害関係人がいる場合は、その者の承諾が必要になります。

 

持分の更正登記により贈与税は課税されないのか

少なくとも贈与税の申告期限前までに更正登記を行っておく必要があります。
もちろん、更正登記を行っただけで贈与税を免れるわけではなく、その他の諸要件を満たしている必要があります。
詳細につきましては、必ず税務署又は税理士に確認してください。

 

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