抵当権設定仮登記

【権利部乙区】

順位番号 登 記 の 目 的 受付年月日・受付番号 権 利 者 そ の 他 の 事 項
1 抵当権設定仮登記

昭和15年○月○日
第○○○○号

原因 平成15年○月○日金銭消費貸借同日設定
債権額 金○○○○円
利息 年○%
損害金 年○%
債務者 ○○市○○町○丁目○番地
 乙 野 次 郎
権利者 ○○市○○町○丁目○番地
 甲 野 太 郎

余白 余白 余白

 上記登記簿からは、債権者甲野太郎と債務者乙野次郎との間で平成15年○月○日に金銭消費貸借契約が行われ、同日当該貸付金債権を担保するため抵当権設定契約がなされたが、(本)登記ではなく仮登記(抵当権設定仮登記)がなされたことが判明します。

 

 

 

仮登記とは
手続法上又は実体法上の要件が具備されていない場合に、将来なされるべき登記(本登記)の順位を保全するためになされる登記
仮登記にはいわゆる1号仮登記と2号仮登記の2種類がある

 

1号仮登記
登記すべき権利変動が既に生じているが、本登記申請に必要な添付書類を提供できない場合に認められる仮登記

 

2号仮登記
登記すべき権利変動は生じていないが、将来において権利変動を生じさせる請求権が発生している場合に、その請求権を保全するためにすることができる仮登記

上記登記簿に記載されている抵当権設定仮登記は、1号仮登記です。
実体法上、抵当権が発生しているので直接本登記することも可能ですが、あえて仮登記にとどめています。
将来本登記がなされた場合に備えて余白が設けられています。

仮登記の効力

登記本来の効力である対抗力(民法177条)を有せず、順位保全効力のみを有します。
仮登記に基づく本登記がなされると、仮登記により保全された順位が本登記の順位となります。

 

対抗力とは、自己の不動産に関する権利を第三者に対して主張することができる効力です。
例えば、不動産を取得したとしても登記をしなければ第三者に対して、自己が所有者であることを主張することができないことになります。

 

抵当権設定仮登記がなされる場合とは

銀行等の金融機関は、融資実行と同時に本登記を行うのが一般的であり、仮登記を経由することは、あまり多くないものと思われます。

 

抵当権の本登記の登録免許税が、債権額の0.4%であるのに対し、抵当権の仮登記の登録免許税は、不動産1個につき1,000円と安いので、個人間の貸し借り等では、とりあえず仮登記だけでも付けておくことはあるかもしれません。また、よほどのことがない限り、仮登記の付された状態の不動産を購入する人はいないので、仮登記を行っておくだけでも、債務者の責任財産が散逸することを防止することが期待できます。

 

 

抵当権相互の優劣

【権利部乙区】

順位番号 登 記 の 目 的 受付年月日・受付番号 権 利 者 そ の 他 の 事 項
1 抵当権設定仮登記

平成15年○月○日
第○○○○号

原因 平成15年○月○日金銭消費貸借同日設定
債権額 金○○○○円
利息 年○%
損害金 年○%
債務者 ○○市○○町○丁目○番地
 乙 野 次 郎
権利者 ○○市○○町○丁目○番地
 甲 野 太 郎

余白 余白 余白
2 抵当権設定

平成16年○月○日
第○○○○号

原因 平成16年○月○日金銭消費貸借同日設定
債権額 金○○○○円
利息 年○%
損害金 年○%
債務者 ○○市○○町○丁目○番地
 乙 野 次 郎
抵当権者 ○○市○○町○丁目○番地
 丙 野 三 郎 

抵当権は同一の不動産の上に、数個設定することができます。
抵当権は、他の債権者に優先して配当を受けることができる権利ですが、数個の抵当権が設定されている場合、先順位の抵当権が優先的に配当を受けることができます。(1番抵当権と2番抵当権が設定されているのであれば、1番抵当権が2番抵当権に優先)

 

上記登記簿を見ると、1番抵当権は仮登記、2番抵当権は本登記です。
この状態では、2番抵当権が1番抵当権に優先します。
1番抵当権は仮登記ですので、登記本来の効力である対抗力がないため、2番抵当権者に対して優先権を主張できません。
1番抵当権が仮登記のまま 1番抵当権<2番抵当権

 

仮登記に基づく本登記がなされると
仮登記に基づく本登記は、2番抵当権設定登記がなされた後に行われても、仮登記の順位保全効力(1番の順位を確保している)により、2番抵当権に優先することになります。(優先順位の逆転)

 

1番抵当権仮登記の本登記後 1番抵当権>2番抵当権

 

抵当権設定仮登記が設定されている物件の購入

抵当権設定仮登記が設定されている物件を購入し、所有権移転登記を行ったとしても、抵当権設定仮登記が本登記に変更されると、抵当権付き不動産を取得したことになり、抵当権が実行されると、購入した不動産を失うことになります。

 

このように、仮登記といえども本登記に変更されると、所有権を喪失する危険があるので、仮登記が付されたままの状態で不動産を購入することは通常行われません。

 

 

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