不動産売買の登録免許税

不動産売買による所有権移転登記(名義変更)を申請するときは、登記を受ける者が登録免許税を納付しなければなりません。

 

ここでは、売買による所有権移転登記申請時の登録免許税について、不動産登記の専門家である司法書士が解説します。

 

登録免許税の算定

不動産売買による所有権移転登記の登録免許税は、不動産の価額を課税標準として、それに一定の税率を乗じて登録免許税の額を算出する定率課税の方式が採られています。

 

所有権移転登記の登録免許税=課税標準×税率

 

不動産の価額
売買による所有権移転登記の登録免許税の課税標準である不動産の価額とは、登記申請時点での不動産の時価とされますが、登記申請の都度、登記官が不動産の時価を算定していては、迅速且つ画一的な登記処理の妨げになることから、登記実務では、固定資産課税台帳に登録された不動産の価額(いわゆる固定資産税評価額)をもって、課税標準である不動産の価額としています。

 

登記の申請日 不動産価額の基準日
1月1日から3月31日 前年の12月31日現在の固定資産税評価額
4月1日から12月31日 その年の1月1日現在の固定資産税評価額

例えば、令和2年1月1日から令和2年3月31日までの間に登記を申請した場合は、令和元年(平成31年)度の固定資産税評価額が、令和2年4月1日から令和2年12月31日までの間に登記を申請した場合は、令和2年度の固定資産税評価額が、課税標準である不動産の価額となります。

 

登録免許税の税率
売買による所有権移転登記の登録免許税の税率は次のとおりです。

土地 建物
原則的な税率 1000分の20 1000分の20
軽減税率

1000分の15
(令和3年3月31日までに登記を受ける場合に適用)

1000分の3
(住宅用家屋減税が適用される場合)

 

 

具体的な登録免許税の計算

不動産売買による所有権移転登記の登録免許税を具体的な事例をもとに計算してみます。
税率は、土地は15/1000を、建物は20/1000を用いています。

 

@1筆の土地の売買
固定資産税評価額が12,345,670円の土地を売買したときの所有権移転登記の登録免許税の額

 

12,345,000円(課税標準(不動産の価額)※1)×1000/15(税率)=185,175円
登録免許税の額(※2)=185,100円

 

※1課税標準の価額に千円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。
※2納付する登録免許税の額に百円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。

 

A2筆の土地の売買
固定資産税評価額が12,345,670円の土地および固定資産税評価額6,543,210円の土地を売買したときの所有権移転登記の登録免許税の額

 

複数の不動産を一括して登記申請する場合の登録免許税の額は、課税標準(固定資産税評価額)を合算した後に端数処理を行います。

 

課税標準=12,345,670円+6,543,210円=18,888,880円
18,888,000円(課税標準(不動産の価額)※1)×1000/15(税率)=283,320円
登録免許税の額(※2)=283,300円

 

※1課税標準の価額に千円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。
※2納付する登録免許税の額に百円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。

 

B土地持分の売買
固定資産税評価額が12,345,670円の土地の持分3分の1を売買したときの持分移転登記の登録免許税の額

 

土地全体の評価額に移転した持分割合を乗じた額を、課税標準(移転した持分の価額)とします。

 

移転した持分の価額=12,345,670円×1/3(移転した持分割合)=4,115,223円
4,115,000円(課税標準(移転した持分価額)※1)×1000/15(税率)=61,725円
登録免許税の額(※2)=61,700円

 

※1課税標準の価額に千円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。
※2納付する登録免許税の額に百円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。

 

C土地と建物の売買
固定資産税評価額が27,654,300円の土地および固定資産税評価額が6,543,200円の建物を売買したときの所有権移転登記の登録免許税の額

 

土地売買の所有権移転登記と建物の所有権移転登記を一括して申請する場合は、土地と建物で登録免許税率が異なるので、土地分の登録免許税と建物分の登録免許税をそれぞれ算出して、各登録免許税を合算した後に、端数処理を行います。

 

(1)土地の登録免許税
27,654,000円(課税標準(不動産の価額)※)×1000/15(税率)=414,810円
登録免許税の額=414,810円
※課税標準の価額に千円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。

 

(2)建物の登録免許税
6,543,000円(課税標準(不動産の価額)※)×1000/20(税率)=130,860円
登録免許税の額=130,860円
※課税標準の価額に千円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。

 

(3)土地と建物の登録免許税の額を合計額
414,810円(土地の登録免許税)+130,860円(建物の登録免許税)=545,670円
登録免許税の合計額※=545,600円
※納付する登録免許税の額に百円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。

 

Dマンション(敷地権付区分建物)の売買
専有部分(マンションの一室)の固定資産税評価額が6,543,200円、その敷地全体の固定資産税評価額が245,678,900円、敷地権(所有権)の割合が217000分の7432のマンションを売買したときの登録免許税

 

マンション(敷地権付区分建物)売買の登録免許税は、専有部分(建物)の登録免許税と敷地権(土地)の登録免許税を算出して、各登録免許税を合算した後に端数処理を行います。

 

(1)専有部分の登録免許税
6,543,000円(課税標準(不動産の価額)※)×1000/20(税率)=130,860円
登録免許税の額=130,860円
※課税標準の価額に千円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。

 

(2)敷地権の登録免許税
敷地権の課税価格は、マンションが建っている土地全体の固定資産税評価額に敷地権割合を乗じた額になります。
敷地権の課税価格=245,678,900円×7432/217000=8,414,219・28円
8,414,000円(課税標準(不動産の価額)※)×1000/15(税率)=126,210円
登録免許税の額=126,210円
※課税標準の価額に千円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。

 

(3)専有部分と建物の登録免許税の額の合計額
130,860円(専有部分の登録免許税)+126,210円(敷地権の登録免許税)=257,070円
登録免許税の合計額※=257,000円
※納付する登録免許税の額に百円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。

 

 

登録免許税の納税義務者

登記を受ける者は、登録免許税法所定の登録免許税を納付しなければならず、登記を受ける者が2人以上あるときは、これらの者は連帯して納付しなければならないとされています。

 

登記を受ける者とは、登記権利者(買主)と登記義務者(売主)の双方が含まれるものと解されていますので、法律上は、買主と売主は、連帯して登録免許税を納付する義務を負うことになります。
ただし、買主と売主との間で、登録免許税を納付する者を定めることは自由であり、通常は、登録免許税の負担者として買主を定めのが一般的です。

 

 

登録免許税の納付方法

登録免許税の納付方法として、現金納付、印紙納付、電子納付が認められています。
登録免許税は、登記申請時に全額納付しなければならず、分割納付は認められていません。

 

現金納付
日本銀行本支店・代理店(銀行等)おいて、納付書を用いて登録免許税相当額を納付し、発行された領収書が貼付された登記申請書を管轄法務局に提出します。

 

印紙納付
登録免許税相当額の収入印紙を貼付した登記申請書を管轄法務局に提出します。
法令では、登録免許税額が3万円以下の場合等に認められる納付方法ですが、実務において登録免許税の額が3万円を超える場合でも、収入印紙による納付が認められています。

 

電子納付
オンラインによる登記申請の場合、インターネットバンキング、モバイルバンキング、ATMを利用することにより電子納付することができます。

 

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