合資会社のみなし種類変更の登記

このページでは合資会社が合同会社へみなし種類変更となった場合の登記手続きについて司法書士が解説します。

 

持分会社の種類変更手続

会社の種類は四種類
会社法では四種類の会社について規定されています。

会社の種類
@株式会社
持分会社
 A合名会社
 B合資会社
 C合同会社

合名会社、合資会社及び合同会社を総称して持分会社といいます。

 

有限会社について
会社法の施行により有限会社法は廃止され、有限会社を新規に設立することはできません。
会社法施行時に存在した有限会社は特例有限会社として存続することが認められており、法律上は株式会社に関する規定の大部分が適用されます。

 

株式会社(持分会社)から持分会社(株式会社)への変更を組織変更といい、持分会社間での変更を種類変更と言います。

 

定款変更による種類変更
総社員の同意で定款を変更することにより持分会社間でその種類を変更することができます。

・合名会社から合資会社又は合同会社に種類変更
・合資会社から合名会社又は合同会社に種類変更
・合同会社から合名会社又は合資会社に種類変更

実務でよく見られるのは合資会社から合同会社への種類変更です。

 

合資会社は会社債権者に対して全責任を負担しなければならない無限責任社員と、出資額を限度に責任を負担する有限責任社員で構成される会社です。

 

合同会社は有限責任社員のみで構成される会社です。

 

合資会社は、その社員の全部を有限責任社員とする定款変更により、合同会社にその種類を変更することができます。

 

合資会社がその無限責任社員全員を有限責任社員とする変更により、有限責任社員だけで構成される合同会社にその種類を変更することが認められています。

 

 

合資会社のみなし種類変更とは

上記のように合資会社は総社員の同意によりその種類を合名会社又は合同会社とする定款変更をすることができますが、みなし種類変更とは、法律の規定により当然にその種類が合名会社又は合同会社となる定款変更がなされたものとみなされることをいいます。

 

合資会社のみなし種類変更が生じるのは次の場合です。

合資会社から合名会社へのみなし種類変更
「有限責任社員全員が退社したことにより、当該合資会社の社員が無限責任社員のみになった場合」は、合名会社となる定款変更をしたものとみなされます。

 

合資会社から合同会社へのみなし種類変更
「無限責任社員全員が退社したことにより、当該合資会社の社員が有限責任社員のみになった場合」は、合同会社となる定款変更をしたものとみなされます。

 

実務でよく見られるのは合資会社から合同会社へのみなし種類変更です。

 

合資会社でよく見られるのは、社長が唯一の無限責任社員(代表社員)で、その親族数名が有限責任社員となっている社員構成です。

 

このような合資会社で、唯一の無限責任社員である社長が死亡すると、この合資会社は有限責任社員のみになってしまいます。
社員の死亡は法定退社原因であり、「無限責任社員全員が退社したことにより、当該合資会社の社員が有限責任社員のみになった場合、合同会社となる定款変更をしたものとみなす」に該当することになり、法律上当然に合資会社から合同会社へ種類変更することになります。

 

定款に相続人承継規定がある場合
合資会社の無限責任社員(有限責任社員も同様です。)が死亡したときは、その社員たる地位は相続人には承継されないのを原則とします。

 

ただし、「無限責任社員が死亡したときには、その相続人が社員の地位を承継する旨」の定款の定めがあれば、死亡した無限責任社員の相続人が無限責任社員となり、当該合資会社は有限責任社員のみとはならないので、合資会社から合同会社へのみなし種類変更は生じません。

 

唯一の無限責任社員が死亡したときは、まずは定款を確認する必要があります。

 

みなし種類変更が生じたときの登記手続

みなし種類変更の登記

みなし種類変更により、合資会社から合同会社へ種類変更したときは、会社の本店所在地を管轄する法務局において種類変更による合資会社の解散登記、種類変更による合同会社の設立登記、無限責任社員の死亡による退社登記を申請する必要があります。

 

合資会社を継続したい場合の手続

合資会社から合同会社へのみなし種類変更が生じたが、合資会社を継続したい場合は、一旦、合資会社から合同会社への種類変更登記を申請した後、無限責任社員を加入させる、有限責任社員が数名いる場合は、そのうちの1人を無限責任社員に変更する旨の定款変更を行うことにより、合同会社から合資会社に種類変更する必要があります。
この場合、合同会社から合資会社への種類変更登記の申請が必要になります。

 

退社による持分払戻請求と減資手続

無限責任社員が死亡すると、相続人が無限責任社員の地位を承継しないときは、その相続人は会社に対して無限責任社員の退社による持分払戻請求権を相続します。

 

種類変更により設立された合同会社がこの持分払戻請求権に応じるには、資本金の額の減少手続きが必要になる場合があります。

 

合同会社が資本金の額を減少するには官報公告等の債権者保護手続きが必要となります。

 

また、資本金の額は合同会社の登記事項ですので、資本金の額の減少手続きにより資本金の額に変更が生じたときは、変更登記の申請も必要になります。

 

みなし種類変更が生じた場合の登記手続きは特殊ですので、会社登記の専門家である司法書士のご相談ください。

 

 

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