唯一の取締役が死亡した場合の株主総会の開催

唯一の取締役が死亡した場合、会社事業を継続するか清算するかに関わらず、株主総会を開催する必要があります。
会社事業を継続するには、株主総会で改めて取締役を選任する必要があります。
会社を清算するのであれば、株主総会で解散を決議し、清算人を選任をする必要があります。

 

唯一の取締役が死亡した場合、どのように株主総会を開催するのかについて解説致します。

 

通常、株主総会は取締役が招集しますが、唯一の取締役が死亡した場合は、株主総会を招集する取締役がいないことになります。
このような場合、どのように株主総会を開催すればよいのでしょうか?

 

株主全員の同意が得られるケース

取締役による招集手続を欠く場合でも、株主全員がその開催に同意して出席したいわゆる「全員出席総会」は有効に成立するとされています。
株主総会を開催することにつき、株主全員の同意を得ることができるのであれば、株主全員が出席する株主総会を開催し、当該株主総会で取締役を選任することができます。

 

唯一の取締役兼株主であったAが死亡した場合
Aが保有していた株式は、Aの相続人が取得することになります。
Aの相続人が一人であれば当然その相続人が全部の株式を単独相続することになりますが、相続人が数名いる場合は、遺産分割が成立するまでの間は、当該株式は各相続人が法定相続分に応じて準共有することになります。

 

例えば、Aの相続人が妻B及び子Cの2名で、Aが保有していた株式数が100株であれば、B及びCが1株につき各2分の1の割合で準共有する株式を100株取得することになります。
Bが50株、Cが50株取得するわけではありません。このような分割を望むのであれば遺産分割協議が必要になります。
遺産分割協議成立前の株主権は、相続人の中から株主権を行使する者一人を定めて、会社に通知することで行使することができます。
株主権を行使する者をCと定めた場合、Cは単独で株主総会を開催し、取締役を選任することができます。

 

また、株主権を行使する者を定めなくてもB及びC出席の下、株主総会を開催し、議決権を共同行使すれば全員出席総会として、取締役を選任することができるの解されます。。

 

Aが80株、Aの弟Dが20株の株式を保有する場合
この場合、株主総会を開催するには、Dの出席及び同意も必要になります。
Dの同意を得ることができ、BCDの全員が出席する株主総会を開催できるのであれば、当該株主総会で取締役を選任することができます。

 

株主総会の開催につきDの同意を選ることはできるが、Dの都合により株主総会に出席することが困難な場合は、株主総会の書面決議の制度を利用することが考えられます。
株主総会の書面決議とは、取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主の全員が書面により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす制度です。

 

この制度を利用して株主総会に出席できないDに対し取締役の選任を提案し、同意書を提出してもらうことができるのであれば株主総会を開催しなくても取締役の選任決議があったものとみなすことができます。
(株主全員の同意書が必要ですのでB及びCについても同意書を作成します。)

 

株主権は代理人により行使することもできます。
最高裁では、代理人の出席により株主全員が出席したこととなる場合であっても、委任した株主が会議の目的たる事項を了知して委任状を作成したものであり、かつ、株主総会の決議が会議の目的である事項の範囲内のものである限り、代理人の出席により株主全員が出席したこととなる株主総会の決議も有効となると判示しています。
代理人をCとするD作成の委任状(委任事項は取締役の選任)の交付を受けることができるのであれば、B及びCが出席した株主総会で取締役を選任することができます。

 

全員出席総会の開催ができない場合

株主の全員が出席する株主総会を開催できない場合、株主総会を開催するには取締役による招集手続を経る必要がありますが、唯一の取締役が死亡したため株主総会を招集する取締役がいない場合、裁判所に「一時取締役の職務を行うべき者」の選任を申し立てることになります。

 

この一時取締役の職務を行うべき者を一般には、仮取締役」と呼んでいます。
株主は、選任を申し立てることができる利害関係人に該当しますので、株主は仮取締役の選任申し立てを行うことができます。
仮取締役が選任されると、その旨の登記が裁判所書記官からの嘱託によりなされます。

 

@株主等の利害関係人による仮取締役の選任申し立て
A仮取締役による株主総会の招集
B株主総会の開催⇒取締役の選任
C取締役の変更登記の申請
(死亡した取締役の退任と新たに選任された取締役の就任の登記)

 

 

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