
株式会社は、株主総会の決議により資本金の額を減少させることができます。
資本金の額を減少させる目的に制限はありませんが、株主に剰余金の配当を行う又は、自己株式を有償取得するために剰余金の分配可能額を増加させるため、資本金等の額を課税標準額とする税金(地方税の均等割額等)を削減するため、損失処理を行うため等を目的とすることが多いのではないでしょうか。
株式会社が資本金の額を減少させるには、株主総会の特別決議に特別決議になります。
株主総会の特別決議の要件
当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行う。
特例有限会社も株主総会の特別決議により資本金の額を減少させることができますが、通常の株式会社より、株主総会の特別決議の要件が加重されていますので注意を要します。
特例有限会社の株主総会の特別決議の要件
総株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、当該株主の議決権の4分の3(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行う。
株主総会の決議事項
株式会社が資本金の額を減少させるには、株主総会の決議により次の事項を決定しなければなりません。
決議事項
@減少する資本金の額
減少する資本金の額の全部又は一部を資本準備金とするときは、その旨及び資本準備金とする額
資本金の額の減少が効力を生ずる日
減少する資本金の額は、効力発生日における資本金の額を超えることができないとされていますので、資本金の額を0円とすることは可能ですが、資本金の額をマイナスにすることは認められていません。
減少する資本金の額を資本準備金に計上しないときは、減少する資本金の額はその他資本剰余金に計上されます。
A減少する資本金の額の全部又は一部を資本準備金とするときはその旨及び資本準備金とする額
※減少する資本金の額を資本準備金に計上しないときは、その他資本剰余金に計上します。
その他資本剰余金は株主への配当及び自己株式の取得の原資となります。
B資本金の額の減少の効力発生日
※効力発生日に資本金の額の減少しますが、その日までに債権者保護手続きが完了していない時は、資本金減少の効力が生じないこととなりますので、効力発生日までに債権者保護手続きが完了しそうでない時は、効力発生日前に効力発生日を変更することができます。
株式会社が資本金を減少する場合、債権者を保護するための手続きを行うことが義務づけられています。
債権者保護手続きの趣旨
資本金の額を減少すると、より多くの会社資金が株主に流出しやすくなりますので、会社財産が唯一の引当である債権者に対して資本金の額の減少について異議を述べる機会を与え、会社債権者が不測の損害を蒙らない様に会社債権者の保護を図っています。
@減資公告
債権者に対して減資を行う旨等の一定事項を官報により公告すること
資本金の額の減少の効力発生日までに1ヶ月を下回らない一定の期間を定め以下の事項を官報で公告しなければなりません。
公告・催告事項
1 資本金を減少の内容
2 会社の計算に関する事項
3 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
官報掲載料について
減資を行う場合、必ず官報公告が必要になります。
減資公告の掲載料は次のとおりです。
・減資公告の官報掲載料 61,018円(17行の場合)
公告方法が官報の会社が、直近の決算公告を行っていない場合
この場合、まず、決算公告をおこなってから減資公告を行う方法と、減資公告と決算公告を同時に行う方法があります。
・減資公告+決算公告の同時公告の官報掲載料 148,662円(4枠)
A債権者への個別催告
会社債権者に対して個別に減資を行う旨を通知し、減資に異議があればその旨を申し述べることを催告する手続き
知れている債権者に対して上記催告事項を個別に催告しなければなりません。
催告の方法に関しては法定されていませんが、通常催告書を債権者に宛に郵送する方法が採られています。
定款で定めた公告方法が、時事に関する日刊紙に掲載する方法又は電子公告である会社は、定款で定めた公告方法により一定事項を公告すれば、債権者への個別催告を省略することができます。
定款で公告方法をA新聞に掲載するとしている会社の場合、官報とA新聞に減資公告事項を掲載すれば、知れている債権者への催告をしなくてもよいことになります。
異議申述期間内に異議を述べなかった債権者は、資本金の額の減少について承認したものとみなされます。
減資することに対して債権者から異議があったときは、会社は次のような対応が求められます。
@異議を述べた債権者に対して弁済する
A異議を述べた債権者のために担保を設定する。
B異議を述べた当該債権者のために相当の財産を信託する。
ただし、資本金の額を減少しても異議を述べた債権者に損害をあたえるおそれがない時は、弁済等する必要はありません。
登記申請期間
減資の効力発生日から2週間以内に、本店所在地を管轄する法務局に、資本金の額の変更登記を申請しなければなりません。
登記すべき事項
変更後の資本金の額及び変更年月日
登記申請に必要な書類
・決議機関に応じた議事録等
株主総会議事録
取締役会議事録(または取締役決定書)
・株主リスト
・一定の欠損の額が存在することを証する書面(定時総会で欠損の額の範囲内で減資する場合)
・公告をしたことを証する書面
官報掲載紙の写し(原本証明付)
・債権者に個別催告をしたことを証する書面
催告書1通に催告債権者名簿を合綴したもの(代表取締役の記名押印)
・定款で定めた公告方法で公告したことを証する書面(二重公告の場合)
日刊新聞紙の該当頁
電子調査機関の調査報告書
・異議を述べた債権者がいる場合
弁済したことを証する書面、担保権を設定したことを証する書面、信託したことを証する書面
・異議を述べた債権者がいるが、その者に損害をあたえるおそれがない場合
異議を述べた債権者に損害をあたえるおそれがないことを証する書面
登録免許税
3万円
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