非業務執行取締役等との責任限定契約

株式会社の役員等が、その任務を怠ったことにより株式会社に損害が発生したときは、株式会社に対して損害賠償責任を負担しなければなりません。

 

この損害賠償責任は、総株主の同意がなければ免除できないのを原則としますが、非業務執行取締役等は、定款の定めに基づき任務懈怠による損害賠償額責任を限定する旨の契約(責任限定契約)を株式会社と締結することができます。

 

責任限定契約を締結するには、責任限定契約を締結することができる旨の定款の定めを設け、その旨の登記を行う必要もあります。

 

責任限定契約

対象者

株式会社の役員等のうち、責任限定契約を締結できるのは非業務執行取締役等に限ります。
非業務執行取締役等は、次の者をいいます。

・取締役(業務執行取締役等は除く)
・監査役
・会計参与
・会計監査人

 

業務執行取締役とは
代表取締役、代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの、又は当該株式会社の業務を執行したその他の取締役

 

業務執行取締役等とは
業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人

 

対象者の範囲の拡大

従来、責任限定契約の対象者は社外取締役、会計参与、社外監査役及び会計監査人とされ、取締役及び監査役に関しては社外性の有無がその基準とされていましたが、平成27年5月1日施行の改正会社法により、取締役及び監査役については、社外性の有無から業務執行に関与しているかどうかがその基準になりました。

 

責任限定契約を締結することができる会社

機関設計を問わず、定款の定めによりすべての株式会社で責任限定契約を締結することができます。

 

 

定款変更の手続

責任限定契約を締結するには定款の定めが必要になります。
責任限定契約を締結することができる旨の定款の定めを設けるには、株主総会の特別決議により定款変更を行う必要があります。

 

定款例

当会社は、会社法427条第1項の規定により、取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)との間に、同法423条第1項の責任を限定する契約を締結することができる。ただし、当該契約に基づく賠償責任の限度額は、○○万円以上であらかじめ定めた金額又は法令が規定する額のいずれか高い額とする。

 

当会社は、会社法427条第1項の規定により、取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)及び監査役との間に、任務を怠ったことによる損害賠償責任を限定する契約を締結することができる。ただし、当該契約に基づく賠償責任の限度額は、法令が規定する額とする。

 

最低責任限度(法令が規定する額)

代表取締役・代表執行役 報酬相当額の6年分

代表取締役以外の業務執行取締役等
代表執行役以外の執行役

報酬相当額の4年分
取締役(上記を除く)、監査役、会計参与、会計監査人 報酬相当額の2年分

 

責任限定契約の定款の定めの設定登記

非業務執行取締役等との間で責任限定契約を締結することができる旨の定款の定めを設けたときは、その旨の登記が必要になります。

 

登記期間

登記は、定款変更の効力が生じた日から2週間以内に、本店所在地を管轄する法務局に申請しなければなりません。

 

従前は、責任限定契約の対象者が社外取締役及び社外監査役とされ、定款の定めが社外取締役又は社外監査役に関するものであるときは、社外取締役又は社外監査役である旨の登記も必要でしたが、平成26年の法改正により責任限定契約の対象者が非業務執行取締役等に拡大されたことから、責任限定契約の定款の定めに基づく社外取締役又は社外監査役である旨の登記は廃止されました。

 

登記すべき事項

非業務執行取締役等の会社に対する責任の制限に関する規定及び変更年月日

 

添付書面

・株主総会議事録
・株主リスト

 

登録免許税

申請1件につき3万円

 

 

登記のご相談、ご依頼は名古屋の司法書士八木隆事務所へ

登記に関することならどんな些細なことでもお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ
1 お電話によるお問い合わせ 
  052-848-8033

 

2 お問い合わせフォームからのお問い合わせ

 

お電話は平日10時から20時まで受け付けております。土日祝日は休業日ですが、事務所にいる時は対応いたしますので、一度おかけになってみてください。

 

お問い合わせフォームからのお問い合わせに対しては原則24時間以内に返信します。
(複雑で調査を要するお問い合わせは、回答までにお時間を頂くことがございます。)

 

正式なご依頼前に、見積手数料、相談料等の名目で費用を請求することは一切ございませんので、安心してお問い合わせください。

 

〒467−0056 
名古屋市瑞穂区白砂町二丁目9番地 
瑞穂ハイツ403号
司法書士八木隆事務所