準備金・剰余金の資本金へ組入れる手続き

与信取引を中心に行う会社の場合、対外的な信用力が重要になります。
資本金の大きさは、会社の信用力を評価する上で、重要な情報の一つになります。

 

会社が資本金の額を増加させるには、株式を発行する方法がありますが、その他に準備金又は剰余金を減少して資本に組入れる方法があります。

 

ここでは、準備金又は剰余金の資本組入れによる資本金の額の増額の手続きについて解説します。

 

純資産の部の構造

株主資本
 資本金
 資本剰余金
  資本準備金
  その他資本剰余金
 利益剰余金
  利益準備金
  その他利益剰余金
   別途積立金
   繰越利益剰余金
 自己株式

 

準備金の資本金組入の手続

株式会社は、株主総会の普通決議により、準備金の額を減少して資本金の額を増加することができます。
この場合、次の事項を定める必要があります。

 

決議事項
・減少する準備金の額
・減少する準備金の額の全部又は一部を資本金とする旨及び資本金とする額
・準備金の額の減少がその効力を生ずる日(効力発生日)

 

減少する準備金の額は効力発生日における準備金の額を超えることはできません。
つまり、準備金の減少により準備金の額を0とすることはできるが準備金の額をマイナスにすることはできないということです。

 

準備金には、資本準備金と利益準備金がありますが、いずれも減少して資本金に計上することが可能です。

 

減少した準備金の額の一部を資本金に計上した場合、資本金に計上しなかった残りの部分ですが、資本準備金を減少した場合はその他資本剰余金に、利益準備金を減少した場合はその他利益剰余金に計上します。

 

債権者保護手続
準備金の額を減少する場合、減少する準備金の額の全部を資本金とする場合を除き、次の事項を官報に公告し、知れている債権者に各別に催告する必要があります。
官報公告の他に、定款で定めた公告方法により公告を行った場合は、知れている債権者への各別の催告を省略することができます。

 

公告事項
・準備金の額の減少の内容
・計算書類に関する事項
・債権者が一定の期間内(一ヶ月を下回ることができない)に異議を述べることができる旨

 

準備金の減少に伴う資本金の額の増加の効力は、株主総会の決議により定めた効力発生日に生じます。
ただし、効力発生日までに債権者保護手続きが完了している必要があります。

 

 

剰余金の資本金組入の手続

株式会社は、株主総会の普通決議により、剰余金の額を減少して資本金の額を増加することができます。
この場合、次の事項を定める必要があります。

 

決議事項
・減少する剰余金の額
・資本金の額の増加がその効力を生ずる日(効力発生日)

 

ここでいう剰余金とは、その他資本剰余金とその他利益剰余金のこといい、いずれも資本金に組入れることが可能です。
ただし、その他利益剰余金については、決算により確定した利益のことであり、期中の利益を資本金に組入れることはできないので注意が必要です。

 

剰余金の減少に伴う資本金の額の増加の効力は、株主総会の決議により定めた効力発生日に生じます。

 

登記手続

資本金の額は登記事項ですので、準備金又は剰余金の資本組み入れにより資本金の額が増加したときは、資本金の額の変更登記の申請が必要になります。

 

資本金の額の増加の効力が生じた日から2週間以内に管轄法務局に申請します。

 

添付書面
・株主総会議事録
・株主リスト
・減少に係る準備金(又は剰余金)の額が計上されていたことを証する書面(代表取締役が作成した証明書)

 

登録免許税
申請1件につき、増加した資本金の額の1,000分の7
上記により計算した税額が3万円未満の場合は、3万円

 

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