取締役会設置会社の監査役が死亡したときの会社の対応

当社は、取締役3名、監査役1名の取締役会を設置する非公開株式会社です。この度、監査役Aが死亡しました。当社がすべき会社法上の手続きについて教えてください。

監査役設置会社を維持する場合
取締役会設置会社は原則監査役を置かなければならないとされています。
御社の場合、取締役会設置会社であり、監査役が1名ですので、その監査役が死亡すると、監査役が不在の状況になってしますので、後任の監査役を選任する必要があります。
監査役の選任は、株主総会の普通決議により行います。株主総会を開催するには、御社の定款の定めに従った株主総会の招集手続きが必要になります。御社の株主全員が集まることができるのであれば、招集手続きを経ることなく適法に株主総会を開催することができます。(判例)

 

監査役の選任は、株主の議決権の過半数の賛成により行います。(御社の定款で決議要件について別段の定めをしているときは、定款の定めに従い監査役を選任します。)
補欠監査役の任期を前任者の任期満了までとする定款の定めがあれば、監査役Xの補欠監査役として後任監査役を選任することにより、後任監査役の任期を監査役Xの任期満了までとすることができます。

 

株主総会を開催したときは、株主総会議事録を作成します。
株主総会議事録の署名押印については会社法では規定されていませんので、御社の定款等に定めに従い署名または押印します。
監査役選任に係る株主総会議事録は監査役就任登記の添付書類となります。

 

監査役に選任された者の承諾により正式に監査役に就任しますので、後任監査役から就任承諾書を提出してもらいます。就任承諾書も監査役就任の登記の添付書類となります。

 

監査役選任後2週間以内に、管轄法務局に監査役Xの退任登記と後任監査役の就任登記を申請します。監査役の死亡による退任登記の添付書類として、戸籍謄本等(監査役Xの死亡の記載のあるもの)、または監査役Xの親族が作成した死亡届が必要になります。
監査役の就任登記の添付書類として、後任監査役の住民票等が必要になります。

 

監査役を廃止する
後任の監査役になってくれる人がいないときは、監査役の廃止を検討します。
非公開会社の機関設計は次のとおりです。
@取締役会+監査役
A取締役+監査役
B取締役のみ
御社の機関設計は現在@ですが、定款を変更することによりBの機関設計、取締役会及び監査役置かない株式会社に移行することができます。
取締役会設置会社は監査役を置かなければなりませんので、取締役会を残したまま監査役だけを廃止することはできませんので、監査役を廃止するには取締役会も同時に廃止する必要があります。
取締役会及び監査役を廃止するには、定款の変更が必要になります。
定款の変更は、株主総会の特別決議により行います。
特別決議は、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の多数により決定します。
株主総会で取締役会設置会社である旨及び監査役設置会社である旨の定款の定めを廃止する定款変更を行います。
更に、取締役会設置会社及び監査役設置会社であることを前提とする定款規定を削除または変更する必要があります。

 

取締役会を廃止することにより、代表取締役の選定方法が変わります。(取締役会設置会社の代表取締役は取締役会で選定する)
代表取締役の選定方法を定款で定め、取締役会非設置会社移行後の代表取締役を定款で定めた方法により選定します。取締役会の廃止前後で代表取締役に変更が生じないときでも、新たに代表取締役を選定する必要があります。
定款で定める代表取締役の選定方法ですが、「株主総会で選定する方法」か「取締役の互選により選定する方法」のどちらかが一般的です。

 

定款変更により取締役会及び監査役を廃止してから2週間以内に、管轄法務局に取締役会廃止、監査役廃止、監査役退任の登記を申請します。御社の監査役が会計限定監査である場合、その旨の登記を廃止する登記も申請します。

 

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