取締役を解任するための手続き

対立する取締役

私は、X株式会社(取締役会設置会社、取締役3名)の代表取締役です。今後の経営方針について取締役Aと対立しており、この取締役Aを解任したいと考えています。取締役を解任するための会社法上の手続きについて教えてください。

会社法では、「取締役は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。」とされていますので、株主総会で決議することにより取締役Aを解任することができます。

 

株主総会による解任決議
取締役Aを解任するには、取締役Aの解任を議題とする臨時株主総会を招集し開催します。
株主総会を開催するには、御社の定款の定めに従った株主総会の招集手続きが必要になります。
御社の株主全員が集まることができるのであれば、招集手続きを経ることなく適法に株主総会を開催することができます。(判例)

 

取締役の解任は、株主総会の普通決議により行うことができますので、議決権の過半数を有する株主が株主総会に出席し、その議決権の過半数を有する株主の賛成を得ることができれば、取締役Aを解任することができます。

 

解任された取締役Aからの損害賠償請求
解任された取締役は、その解任につき正当な理由がないときは、会社に対して損害賠償を請求することができるとされています。

 

正当な理由とは、取締役の不正行為や定款違反行為等があった場合をいい、解任理由が単に経営方針の不一致の場合、解任につき正当な理由が認められず、損害賠償請求が容認されるリスクが高いと思われます。

 

取締役Aからの損害賠償請求がなされるリスクを避けるためには、
・取締役Aに辞任を促し、自発的に退任してもらう。
・取締役Aの残存任期が短ければ任期満了まで待って、退任してもらう。
これらの方法で取締役Aの退任が可能かどうか検討します。

 

解任につき正当な理由が認められなかった場合の損害賠償の金額ですが、一般的には、当該取締役が任期満了まで勤めた場合に支給されるはずであった役員報酬等の金額とされます。

 

後任取締役の選任
御社の場合、取締役Aを解任すると、後任取締役の選任が必要となります。
取締役会設置会社である御社は取締役を3名以上置かなければならず、取締役Aを解任すると取締役の数が2名となってしまうので、少なくとも1名の取締役の選任が必要になります。

 

後任取締役を確保できないときの対応
どうしても後任取締役が確保できず、取締役3名以上を維持できないときは、非公開会社であれば取締役会を廃止することを検討します。

 

非公開会社は取締役会は任意設置機関ですので、定款を変更することにより取締役会を廃止することが可能です。
取締役会を廃止すれば取締役は1名以上置けば足りますので、後任取締役を選任する必要がなくなります。
定款を変更するには、株主総会の特別決議が必要になります。

 

登記
取締役Aを解任したときは、管轄法務局において2週間以内に取締役の退任登記を申請します。
後任の取締役を選任したときは、取締役就任の登記も申請します。

 

司法書士へのご相談・ご依頼

司法書士八木事務所では、会社に関する各種議事録の作成、登記手続等のご相談を承っております。
お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ
1 お電話によるお問い合わせ 
  052-848-8033

 

2 お問い合わせフォームからのお問い合わせ

 

お電話は平日10時から20時まで受け付けております。土日祝日は休業日ですが、事務所にいる時は対応いたしますので、一度おかけになってみてください。

 

お問い合わせフォームからのお問い合わせに対しては原則24時間以内に返信します。
(複雑で調査を要するお問い合わせは、回答までにお時間を頂くことがございます。)

 

正式なご依頼前に、見積手数料、相談料等の名目で費用を請求することは一切ございませんので、安心してお問い合わせください。

 

〒467−0056 
名古屋市瑞穂区白砂町二丁目9番地 
瑞穂ハイツ403号
司法書士八木隆事務所