医療法人の理事長の予選の可否について

医療法人の理事長の予選の可否について
医療法人の理事長の予選の可否について、理事長A、理事B、理事Cの医療法人において、本年6月30日に理事の全員が任期満了するので6月20日に開催する社員総会において理事改選決議を行う場合で考えてみます。

 

理事長の予選として認められるかどうかの基本的な考え方は、

@予選時の理事会のメンバーと理事長が選任効力発生時の理事会のメンバーが同一であること

 

A予選から理事長選任の効力発生までの期間が合理的な期間であること

になります。

予選時と理事長就任時の理事会のメンバーが同一のケース(社員総会後の理事会で理事長を予選)

6月20日開催の社員総会で理事全員(A・B・C)を再任(理事全員が即時に就任を承諾)、社員総会後、同日に理事会を開催し、理事長にAを選任(Aは即時に就任を承諾)したケース

 

このケースでは、6月20日開催の理事会のメンバーと理事長就任時(7月1日)の理事会のメンバーが同一(いすれもA・B・C)ですので、6月20日開催の理事会における理事長の予選決議は有効になります。

 

予選時と理事長就任時の理事会のメンバーが同一のケース(社員総会前の理事会で理事長を予選)

理事全員(A・B・C)を再任予定の6月20日開催の社員総会に先立ち、6月1日開催の決算承認理事会において再選後の理事長としてAを予選したケース

 

このケースでも6月20日開催の社員総会で理事全員(A・B・C)が再任すれば、6月1日開催の理事会のメンバーと理事長就任時(7月1日)の理事会のメンバーが同一(いすれもA・B・C)ですので、6月1日開催の理事会における理事長の予選決議は有効になります。

 

また、理事長の予選から就任までの期間は1か月程ですので、合理的な期間内の予選といえます。
(登記先例では、1か月程度を合理的な期間(代表取締役の予選のケース)としています。)

 

予選時と理事長就任時の理事会のメンバーが異なるケース

6月20日開催の社員総会で理事A及びBは再任、理事Cは任期満了により退任(再任せず)、理事Cの後任としてDを選任、社員総会の終結後、同日に理事会(A・B・C)を開催し、理事長にAを選任(Aは即時に就任承諾)したケース

 

このケースでは、6月20日開催の理事会のメンバー(A・B・C)と理事長就任時(7月1日)の理事会のメンバー(A・B・D)が異なりますので、6月20日開催の理事会では理事長を予選することはできないことになります。

 

理事会のメンバーと理事長就任時の理事会のメンバーが異なる場合、理事予選の効力が生じた日以後に理事会を開催して改選後の理事長を選定する必要があります。

 

本ケースでは7月1日以後に理事会(A・B・D)を開催しAを理事長に選任することになります。
理事会を7月1日に開催しAを理事長を選任(Aは即時に就任を承諾)した場合は、登記実務上、7月1日重任で理事長の変更登記を行うことができます。
(理事の重任日と理事長の就任日がいずれも7月1日なので、7月1日重任による理事長の変更登記を認めています。)
理事会を7月2日に開催しAを理事長に選任(Aは即時に就任を承諾)した場合の理事長の変更登記は、6月30日退任、7月2日就任となります。

 

 

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