
NPO法人(特定非営利活動法人)の理事の登記手続
NPO法人の理事のうち、代表権を有する理事に関する事項に変更が生じたときは、2週間以内に主たる事務所の所在地を管轄する法務局において理事変更の登記を行う必要があります。
定款で理事長以外の理事は代表権を有しない旨の定めがある場合、理事長に関する事項に変更があった場合のみ登記が必要となり、理事長以外の理事に変更があった場合でも登記は不要です。
NPO法人の場合、通常、2年に1回理事の改選が行われますが、再選により実質理事長に変更が生じない場合であっても理事の重任登記が必要になります。
なお、NPO法人の登記の登録免許税は、非課税扱いとなっています。
NPO法人には、理事3名以上および監事1名以上を置かなければならない。
NPO法人の代表権を有する者
理事
NPO法人の理事は、すべてNPO法人の業務について、NPO法人を代表するのが原則(各自代表)。
理事長
理事は各自代表が原則だが、定款をもって特定の理事以外の理事の代表権を制限した場合には、当該特定の理事のみがNPO法人を代表することになる。
NPO法人の多くは、理事の代表権を制限する規定として、定款に以下の規定を置いている。
「理事長は、この法人を代表し、その業務を総理する。理事長以外の理事は、法人の業務について、この法人を代表しない。」
このような理事の代表権を制限する規定を定款に定めた場合、理事長のみが代表権を有し、その他の理事は代表権を有しないこととなる。
理事の任期は2年以内において定款で定める期間とされる。
任期伸長規定
定款で理事を社員総会で選任することとしているNPO法人は、定款の定めにより、後任の役員が選任されていない場合に限り、定款で定められた任期の末日後最初の社員総会が集結するまでその任期が伸長される。
役員を社員総会で選任することを明記している場合に適用される。
社員総会以外で役員を選任することとしているNPO法人は、定款で任期伸長規定の定めを設けることはできない。
理事の選任方法は法定されておらず、定款の定めるところによる。
NPO法人の多くは、定款で「役員は社員総会で選任する。」と定めている。
理事の予選
理事の任期満了前に社員総会等を開催して当該任期が満了する理事の後任理事を予め選任することをいう。
合理的な期間内であれば理事の予選を認められる。(1か月程度前)
理事長の予選
社員総会等により後任の理事を予選した直後(同日)に、理事の互選等により理事長を予選することができる。
ただし、現任理事の全員が再任(重任)されない場合(理事の交替がある場合)、登記実務上、理事長の予選は認められていない。
@現任理事A・B・C⇒後任の理事A・B・C
A・B・Cにより理事長を予選することができる。
A・B・Cはいずれも予選の時点で後任の理事に就任していないが、現にNPO法人の理事の地位にあるので、その地位に基づいて後任の理事長を予選することができるものと解されている。
A現任理事A・B・C⇒後任の理事A・B・D(C退任・D新任)
A・B・Dにより後任の理事長を予選することができない。
Dは、後任の理事長の予選の時点でいまだ理事に就任していないため。
理事の予選により理事の構成に変動が生ずる場合の理事長の選定方法
後任の理事が就任した後に、理事の互選又は理事会を開催して後任の理事長を選定する。
理事の予選と同時に理事長を予選する方法
理事の選任に係る社員総会の終結をもって現任理事全員が理事を辞任する。
社員総会において後任の理事を選任する。
(社員総会の終結と同時に現任理事全員が辞任にし、後任理事が就任することになる。)
社員総会終結後、理事の互選又は理事会により理事長を選定する。
NPO法人の理事のうち代表権を有する者に変更が生じたときは、変更が生じた日から2週間以内に、その主たる事務所の所在地を管轄する法務局において、理事変更の登記を申請しなければならない。
NPO法人の場合、代表権を有する理事の氏名及び住所を登記することになるので、代表権を有する理事に変更が生じたときに登記が必要となる。
定款で、「理事長は、この法人を代表し、その業務を総理する。理事長以外の理事は、法人の業務について、この法人を代表しない。」と定めているNPO法人の場合、理事長に変更が生じたときに登記が必要となる。(理事長以外の理事に変更が生じたとしても登記は不要。)
なお、定款で代表権を有する理事を理事長と定めている場合であっても、登記は理事の資格(肩書き)でなされる。
添付書類
@理事長再任(任期満了に伴う理事再任)の場合
・定款
・理事の選任を証する書面
社員総会議事録(定款で理事を社員総会で選任すると定めている場合)
理事会議事録(定款で理事を理事会で選任すると定めている場合)
・理事の就任承諾書
理事長の理事就任に係る就任承諾書
ただし、議事録に就任を承諾した旨の記載があれば、就任承諾書の添付は不要。
・理事長の選定を証する書面
理事の互選書(定款で理事長を理事の互選により選定すると定めている場合)
理事会議事録(定款で理事長を理事会で選定すると定めている場合)
・印鑑証明書
理事の互選書又は理事会議事録に押印した全員の印鑑につき市町村長作成の印鑑証明書
ただし、変更前の理事が当該互選書又は理事会議事録に法務局に提出している印鑑(法人実印)に押印した場合、印鑑証明書の添付は不要。
・理事長の就任承諾書
ただし、互選書又は理事会議事録に、理事長への就任を承諾した旨の記載があれば就任承諾書の添付は不要。
A現理事長が辞任し、新理事長が就任した場合
・定款
・辞任届
・理事長の印鑑証明書
辞任届に押印した印鑑につき市町村作成の印鑑証明書
ただし、辞任届に現理事長が法務局に提出している印鑑(法人実印)を押印した場合は、印鑑証明書の添付は不要。
・新理事長が理事に選任されたことを証する書面
社員総会議事録(定款で理事を社員総会で選任すると定めている場合)
理事会議事録(定款で理事を理事会で選任すると定めている場合)
・理事の就任承諾書
新理事長の理事就任に係る就任承諾書
ただし、議事録に就任を承諾した旨の記載があれば、就任承諾書の添付は不要。
・新理事長の選定を証する書面
理事の互選書(定款で理事長を理事の互選により選定すると定めている場合)
理事会議事録(定款で理事長を理事会で選定すると定めている場合)
・印鑑証明書
理事の互選書又は理事会議事録に押印した全員の印鑑につき市町村長作成の印鑑証明書
ただし、変更前の理事が当該互選書又は理事会議事録に法務局に提出している印鑑(法人実印)に押印した場合、印鑑証明書の添付は不要。
・理事長の就任承諾書
ただし、互選書又は理事会議事録に、理事長への就任を承諾した旨の記載があれば就任承諾書の添付は不要。
・印鑑届書
新理事長が印鑑を法務局に提出する場合に届け出る。
作成後3ヶ月以内発行の市町村長作成の印鑑証明書を添付
理事変更の登記申請に添付書類として印鑑証明書を添付した場合は、その印鑑証明書を援用することができる。
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当事務所のNPO法人の理事に関する登記の手数料(報酬)の目安
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