代物弁済による登記手続

代物弁済とは
「債務者が、債権者の承諾を得て、その負担した給付に代えて他の給付をすることにより、本来の給付に係る債務を消滅させる行為」のことをいいます。

 

例えば、借金の返済に代えて、自己所有の不動産を債権者(貸主)に引き渡すことにより、借金の返済をしたことにしてもらう、慰謝料等の損害賠償金の支払いに代えて、自己所有の不動産を債権者(被害者)に引き渡すことにより、損害賠償金の支払いをしたことにしてもらう等は、代物弁済にあたります。

 

代物弁済の効果は、本来の給付に係る債務の消滅ですが、代物弁済の合意をしただけでは債務は消滅せず、他の給付が現実になされたときに、本来の給付に係る債務が消滅します。

 

本来の給付に代えて不動産を給付する場合は、債権者へ所有権移転登記を行うことが必要になります。

 

本来の給付の経済的価値と他の給付の経済的価値が同一でなくても、債権者が承諾すれば、代物弁済の効力は生じますが、この場合、差額調整金を支払うことにより本来給付の価値と他の給付の価値の差額を調整するのが一般的です。

 

差額調整金によりその差額を調整しない場合は、その差額につき贈与税が課税されることがあります。(みなし贈与税)

 

また、代物弁済として不動産を給付したときは、原則、譲渡所得税が課税されることになります。
代物弁済により消滅した債務の額が、譲渡所得税の収入金額になります。

 

代物弁済として不動産を給付したときは、債務者(給付者)と債権者(給付を受けた者)が共同して不動産の所在地の法務局に代物弁済による所有権移転登記を申請します。

 

停止条件付代物弁済・代物弁済予約とは
これは、債務の弁済がない場合に、債権者は弁済に代えて他の目的物(不動産等)の所有権を取得するという合意です。

 

停止条件付代物弁済契約は、条件成就(債務不履行)により、代物弁済の目的物の所有権が債権者に移転する契約です。

 

代物弁済予約は、債務不履行により発生する予約完結権を債権者が行使することにより代物弁済の目的物の所有権が債権者に移転する契約です。

 

これらの契約で代物弁済の目的物を不動産としたときは、仮登記をすることができます。

 

ただし、金銭債務を担保するための停止条件付代物弁済契約又は代物弁済予約は、仮登記担保契約と呼ばれ、仮登記担保契約に関する法律が適用されます。

 

この法律により条件成就(債務不履行)又は予約完結権の行使があったとしても、目的不動産の所有権は債権者には移転せず、清算手続期間経過後に所有権が移転することになります。(又、債権者に清算金の支払い義務が発生する場合は、清算金の支払い債務と所有権移転登記及び引き渡し債務の履行は、同時履行の関係になります。)

代物弁済により不動産を取得したときの登記

代物弁済により不動産を取得したときは、債務者(給付者)と債権者(給付を受けた者)が共同して、不動産の所在地を管轄する法務局に代物弁済による所有権移転登記を申請します。

 

登記必要書類
・登記識別情報(又は登記済権利証)

 

・給付者の印鑑証明書(作成後3ヶ月以内のもの)

 

・給付を受けた者の住民票の写し

 

・固定資産税評価証明書

 

・登記原因証明情報(代物弁済契約書等)

 

登録免許税
代物弁済による所有権移転登記の登録免許税の額は、固定資産税評価額の2%です。

 

 

停止条件付代物弁済契約又は代物弁済予約による仮登記

不動産を目的として停止条件代物弁済契約又は代物弁済予約を行ったときは、仮登記を行うことができます。
仮登記は、債務者と債権者が共同して申請するの原則としますが、債務者(不動産の所有者)の承諾があれば、債権者が単独で申請します。

 

単独申請の場合、債務者の承諾書(印鑑証明書付)を添付します。

 

停止条件付代物弁済の場合は、代物弁済による条件付所有権移転仮登記を、代物弁済予約の場合は、代物弁済予約による所有権移転請求権仮登記を申請します。

 

添付書類
・債務者の印鑑証明書(作成後3ヶ月以内のもの)

 

・固定資産税評価証明書

 

・登記原因証明情報(代物弁済契約書等)

 

仮登記の場合、登記識別情報(又は登記済権利証)、住民票の添付は不要です。

 

登録免許税
所有権移転仮登記の登録免許税の額は、固定資産税評価額の1%です。

 

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