このページでは、事業譲渡の対象財産のなかに不動産がある場合に行う譲渡会社から譲り受け会社への不動産の名義変更の登記手続きついて解説します。
事業譲渡とは、「会社が事業を取引行為(特定承継)として譲り渡す行為」のことをいい、判例によれば事業とは、「一定の営業目的のため組織化され、有機一体として機能する財産(得意先関係等の経済的価値ある事実関係を含む。)」とされています。
取締役会の決議
取締役会設置会社が、重要な財産を処分する場合、その決定は取締役会で行わなければならないとされています。
通常、取引の対象となる事業は譲渡会社にとって重要な財産にあたることから、その事業を譲渡するには取締役会の決議が必要になります。
株主総会の承認決議
事業の全部譲渡又は、事業の重要な一部の譲渡であり、かつ譲渡対象資産の帳簿価額が譲渡会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の5分の1を超える場合は、当該事業譲渡について譲渡日までに株主総会の特別決議による承認を受けなければなりません。
取締役会の決議
取締役会設置会社が重要な財産を譲り受けるには取締役会の決議が必要になります。
通常、事業を譲り受ける行為は「重要な財産の譲受け」に該当するので、事業の譲り受けるには取締役会の決議が必要になります。
株主総会の承認決議
譲り受ける事業が、他の会社の事業の全部である場合は、当該事業の譲り受けについて譲り受け日までに株主総会の特別決議による承認を受けなければなりません。
ただし、当該他の会社の事業の全部の対価として交付する財産の帳簿価額の合計額が、当該譲受会社の純資産額として法務省令で定める方法により算定される額の5分の1を超えないときは、株主総会の承認を得る必要はありません。
事業譲渡により不動産を承継したときは、譲渡会社と譲受会社が共同して不動産の所在地の法務局に事業譲渡による所有権移転登記を申請します。
登記原因及び原因日付
登記原因は「事業譲渡」になります。
原因日付
事業譲渡契約で定めによります。
一般的には譲渡契約で譲渡日を定め、その日に承継不動産の所有権が譲受会社に移転する旨が定められています。
添付書類
・譲渡会社の登記識別情報(又は登記済権利証)
・譲渡会社の印鑑証明書(作成後3ヶ月以内のもの)
・譲受会社の住所証明情報
具体的には、会社の登記事項証明書又は会社法人等番号を提供します。
・登記原因証明情報
具体的な登記原因証明情報としては、事業譲渡契約書が該当しますが、事業譲渡契約書は膨大なこともあり又、登記手続きには必要ない記載もありますので、登記実務では、報告形式の登記原因証明書を作成して提供することが多いと思われます。
・株主総会議事録
事業譲渡につき株主総会の承認が必要な場合、当該承認に係る株主総会議事録を添付する必要があります。
当該株主総会議事録には代表取締役が会社実印(法務局届出印)で押印し、印鑑証明書を添付する必要があります。なお、添付する印鑑証明書については作成後3ヶ月以内のものといった制限はありません。
・固定資産税評価証明書
登録免許税
事業譲渡による所有権移転登記の登録免許税は、固定資産税評価額の2%です。
司法書士八木事務所では、事業譲渡による所有権移転登記に関するご相談、ご依頼を承っております。
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