一般社団法人の設立手続(定款作成から設立登記まで)

ここでは、一般社団法人の設立手続きについて、法人登記の専門家である司法書士が解説します。

一般社団法人の特徴

公益性は不要
一般社団法人が行う事業はその種類を問われませんので、公益事業を行う団体である必要はありません。
町内会、同窓会等の共益的な事業を行う団体、又は収益事業を行う団体も一般社団法人になることができます。
なお、一定の公益事業を行う一般社団法人は公益認定を受けることにより、公益一般社団法人になることができます。

 

簡便に法人格を取得できる
設立にあたり、主務官庁の許認可等は不要で、設立登記をすることにより法人格を取得できます。

 

出資が不要
一般社団法人の社員には出資義務がなく、一般社団法人に対して持分を有しません。

 

利益を分配することができない法人
会社が事業活動により得た利益を構成員(株主又は社員)に分配することを目的とする法人であるのに対し、一般社団法人は社員に利益を分配することは認められていない法人です。
(社員は利益配当請求権及び残余財産分配請求権を有しない)

 

 

一般社団法人の設立手続

設立時社員による定款作成

一般社団法人を設立するには、2名以上の設立時社員が共同して定款を作成する必要があります。
設立時においては社員は2名以上必要だが、設立後に社員が1名になることは許容されています。

 

紙定款と電子定款
定款は紙定款又は電子定款のいずれかで作成することができます。

紙定款
ソフトウェアで作成し、印刷した書面(または手書きした書面)に設立時社員全員が署名又は記名押印した定款

 

電子定款
ソフトウェアで作成保存したデジタル文書に、設立時社員全員が電子署名した定款

定款は代理人により作成することも可能です。

 

印紙税について

紙定款 電子定款
一般社団法人 不要 不要
株式会社・合同会社 4万円 不要

会社設立の場合、電子定款を作成することにより、紙で定款を作成する場合より、印紙税分4万円を節約することができますが、一般社団法人設立の場合、定款に印紙税が課税されませんので、電子定款を作成したとしても印紙税の節約にはなりません。

 

定款の記載事項

一般社団法人の定款には、次の事項を必ず記載しなければならず、これらの記載を欠く定款は、定款自体が無効になります。

定款の絶対的記載事項
@目的
一般社団法人の目的及びその目的を達成するための事業内容を記載します。
事業内容については制限はありません。(公益事業、共益事業、収益事業等)

 

A名称
一般社団法人はその名称中、必ず一般社団法人という文字を用いなければなりません。

 

B主たる事務所の所在地
具体的な所在地番まで記載する必要はなく、最小行政区画(市町村、東京都特別区)まで定めれば足ります。

 

C社員の氏名又は名称及び住所

 

D社員の資格の得喪に関する規定

 

E公告方法
次のいずれかの方法を定めます。
 1官報に掲載する方法
 2時事に関する日刊新聞紙に掲載する方法
 3電子公告
 4主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法

 

F事業年度
事業年度は1年間を超えることができない。

 

定款認証

一般社団法人の設立時の定款(原始定款)は、公証人の認証を受けなければその効力を生じません。
定款の認証手数料は、5万円で、その他数千円の謄本代等が必要になります。

 

定款を認証する公証人
一般社団法人の主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の所属公証人が定款を認証します。
一般社団法人の主たる事務所を名古屋市内に置く場合は、愛知県内の公証役場に所属する公証人が認証するう権限を有することになります。

 

 

設立時役員の選任

設立時理事の選任

一般社団法人の設立時理事は定款で直接定めることができます。
設立時理事を定款で定めていないときは、公証人による定款認証後、遅滞なく、設立時理事を選任しなければなりません。
設立時理事の選任は、設立時社員の議決権の過半数をもって決定します。

 

一般社団法人の理事の任期
選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時社員総会の終結時までです。
但し、定款又は社員総会によりその任期を短縮することが可能ですが、その任期を伸長することはできません。

 

設立時監事の選任

設立する一般社団法人に理事会を設置する場合は、必ず監事を置かなければなりませんが、理事会を設置しないのであれば、監事を置く必要はありません。
設立する一般社団法人に監事を置く場合は、設立時監事を定款で定める又は、設立時社員の議決権の過半数の決定により設立時監事を選任します。

 

一般社団法人の監事の任期
選任後4年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時社員総会の終結時までです。
ただし、定款により、その任期を選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結時までを限度に短縮することができます。

 

設立時代表理事の選定

理事会設置一般社団法人の場合
設立時理事3人以上を選任し、設立時理事の過半数により設立時理事の中から設立時代表理事を選定します。

 

理事会非設置一般社団法人の場合
理事会非設置一般社団法人の設立時代表理事の選定に関して法定されていませんが、実務上以下の方法が認められています。

@定款で設立時代表理事を定める方法

 

A定款に互選規定を設け、設立時理事の互選により設立時代表理事を選定する方法

 

B定款に互選規定がないときは、設立時社員の議決権の過半数により設立時代表理事を選定する方法

上記@からBの方法により設立時代表理事を選定しなかったときは、設立時理事全員が設立時代表理事になります。

 

主たる事務所の所在場所の決定

一般社団法人の主たる事務所を、定款で最小行政区画までしか定めいていないときは、主たる事務所の所在場所を設立時社員の過半数により決定します。

 

設立時理事等の調査

設立時理事(監事設置一般社団法人は設立時理事及び設立時監事)は、その選任後遅滞なく、一般社団法人の設立の手続が法令又は定款に違反していないかどうかを調査します。

 

設立登記の申請

登記申請期間
設立時代表理事は、主たる事務所の所在地を管轄する法務局(登記所)において、設立時理事による設立調査の終了した日、又は設立時理事が定めた日のいずれか遅い日から2週間以内に設立登記を申請しなければなりません。

 

印鑑の提出
設立時代表理事は設立登記の申請と同時に印鑑登録を行う必要があります。
印鑑登録は印鑑届書を提出することにより行い、印鑑届書には印鑑を届け出る者(設立時代表理事)の市町村に登録している印鑑で押印し、その印鑑に係る印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のものに限る)を添付します。

 

設立登記の添付書類
@定款(公証人による認証を受けたもの)

 

A設立時理事、設立時監事、主たる事務所の所在場所を設立時社員の過半数により決定した場合
・設立時社員の過半数による決定書

 

B設立時代表理事を設立時社員により選定した場合
(1)理事会設置一般社団法人の場合
・設立時理事の過半数による決定書
(2)理事会非設置一般社団法人の場合
・定款(設立時代表理事を定款で定めた場合)
・互選書(定款の定めに基づき設立時理事の互選により選定した場合)
・設立時理事の過半数による決定書(設立時理事の過半数により代表理事を選定した場合)

 

C設立時理事、設立時監事、設立時代表理事の就任承諾書
※就任承諾書に押印する印鑑(実印での押印が必要な場合、印鑑証明書を添付)
(1)理事会設置一般社団法人の場合
設立時代表理事は実印
設立時理事及び設立時監事は認印可

 

(2)理事会非設置一般社団法人の場合
設立時理事は実印
設立時監事及び設立時代表理事は認印可

 

D設立時理事・設立時監事の就任承諾書に記載された氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている公的証明書(住民票の写し、運転免許証等のコピー(本人が原本に相違ないことを証明し記名押印する必要あり)等)

 

登録免許税
申請1件につき60,000円
主たる事務所の所在地を管轄する法務局の管轄外に従たる事務所を設置する場合、従たる事務所所在地分として9,000円

 

会社との設立費用の比較

一般社団法人 株式会社 合同会社
設立登記の登録免許税 6万円

15万円(最低額)
※資本金の額の1000分の7

6万円(最低額)
※資本金の額の1000分の7

定款認証手数料 5万円 5万円 0円(認証不要)
紙定款の印紙税 0円(非課税) 4万円 4万円
総額 11万円〜 24万円〜 10万円〜

 

 

非営利性が徹底された一般社団法人等の税制優遇措置

一般社団法人は原則は、法人税法上は普通法人として取り扱われ、すべての所得に対して法人税が課税されます。

 

ただし、一般社団法人でも、「非営利性が徹底された法人」であるか又は、「共益活動を行うことを目的とする法人」である場合は、法人税法上、公益法人等として取り扱われ、所得のうち収益事業による所得についてのみ課税されるといった税法上の優遇措置があります。

 

非営利性が徹底された一般社団法人の要件

1 定款に、剰余金の分配を行わない旨の定めがあること

 

2 定款に、解散したときはその残余財産が国若しくは地方公共団体又は次に掲げる法人に帰属する旨の定めがあること(公益社団法人、公益財団法人、学校法人、社会福祉法人、更生保護法人、独立行政法人等)

 

3 上記1又は2の定款の定めに反する行為(上記1、2及び下記4の要件に該当していた期間において、特定の個人又は団体に特別の利益を与えることを含む。)を行うことを決定し、又は行ったことがないこと

 

4 各理事について、その理事及びその理事の親族等である理事の合計数が、理事総数の3分の1以下であること

 

共益活動を行うことを目的とする一般社団法人の要件

1 会員に共通する利益を図る活動を行うことを目的としていること。

 

2 定款等に会費の定めがあること。

 

3 主たる事業として収益事業を行っていないこと。

 

4 定款に特定の個人又は団体に剰余金の分配を行うことを定めていないこと。

 

5 解散したときにその残余財産を特定の個人又は団体に帰属させることを定款に定めていないこと。

 

6 上記1から5まで及び下記7の要件に該当していた期間において、特定の個人又は団体に特別の利益を与えることを決定し、又は与えたことがないこと。

 

7 各理事について、その理事及びその理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の3分の 1 以下であること。

 

 

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当事務所の設立登記の手数料(報酬)の目安
55,000円〜

 

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