清算結了登記がなされた会社・法人を抵当権者とする抵当権抹消登記

抵当権者が会社・法人であり、抵当権抹消登記の申請手続きを残したまま、清算結了し、その旨の登記がなされている場合、抵当権抹消登記の申請はどのように行えばよいのでしょうか?

 

このページでは、清算結了登記がなされている会社法人が抵当権者である場合の抵当権抹消登記を申請する方法について解説します。

 

清算結了登記がなされた会社・法人を抵当権者とする抵当権抹消登記の方法

抵当権者である会社・法人の調査

会社・法人を調査するには、法務局で登記事項証明書の交付請求を行います。
清算結了の登記がなされている場合、閉鎖登記記録として法務局が保存しており、閉鎖登記事項証明書を取得することができます。

 

解散登記がなされた会社・法人の登記記録は、解散登記から10年が経過すると閉鎖登記記録に移されます

 

なお、会社法人の閉鎖事項証明書の保存期間は20年とされていますので、登記記録が閉鎖されてから20年以上が経過していると閉鎖登記記録が既に廃棄されており閉鎖登記事項証明書が取得できない場合があります。この場合は別の方法で抵当権抹消登記ができるかどうか検討します。(後述)

 

清算人へのアプローチ

閉鎖登記事項証明書に記載されている清算人が生存している場合、便宜清算結了の登記を抹消することなく、当該清算人と抵当権設定者(所有権登記名義人)が共同して、抵当権抹消登記を申請することができます。
これは、清算事務として登記申請義務のみが残された場合の取扱いであり、被担保債務が残っている場合(抵当権は未だ消滅していない)は、原則通り、清算結了の登記を抹消して清算会社(清算法人)に戻す必要があると解されます。

 

清算人が抵当権抹消登記に協力してくれない場合は、抵当権抹消登記請求訴訟を提起することになります。
当該訴訟において勝訴判決(給付判決)を得ることにより、所有権登記名義人は単独で抵当権抹消登記を申請することができます。

 

 

登記簿上の清算人が死亡している場合

閉鎖登記事項証明書に記載されている清算人の全員が既に死亡しており、当時の株主も不明である場合は、
登記権利者(不動産の所有者登記名義人)が利害関係人として、裁判所に対して会社・法人の清算人の選任を申請し、選任された清算人を登記義務者として共同で抵当権抹消登記を申請することが認められています

 

閉鎖登記事項証明書が取得できない場合

不動産登記法第70条(休眠担保権の抹消の特例)が適用できるが検討

不動産登記法第70条
1 登記権利者は、登記義務者の所在が知れないため登記義務者と共同して権利に関する登記の抹消を申請することができないときは、(以下省略)

 

3 第一項に規定する場合において、登記権利者が先取特権、質権又は抵当権の被担保債権が消滅したことを証する情報として政令で定めるものを提供したときは、第六十条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独でそれらの権利に関する登記の抹消を申請することができる。同項に規定する場合において、被担保債権の弁済期から二十年を経過し、かつ、その期間を経過した後に当該被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭が供託されたときも、同様とする。

この規定は、抵当権者が所在が知れない(行方不明)ときは、一定の要件を満たせば、登記権利者である不動産の所有者が単独で抵当権抹消登記を申請することができることを定めたものです。

 

不動産登記法第70条の規定は、登記義務者が会社法人の場合も適用されます。
では、会社法人の所在が知れないとは、どのような場合でしょうか?

 

会社・法人の所在が知れないとは

会社・法人の所在が知れないとは、「当該法人について登記簿に記載がなく、かつ、閉鎖登記簿が廃棄済みであるため、その所在を確認する事ができない場合等をいう」とされています。

 

つまり、当該法人の所在地を管轄する法務局において、当該会社法人の登記簿謄本(登記事項証明書)若しくは閉鎖登記簿謄本(閉鎖登記事項証明書)の交付請求等をおこなったものの、該当の登記簿及び閉鎖登記簿が存在しない場合、当該法人は所在が知れないとされます。

 

法務局において、登記簿及び閉鎖登記簿が既に廃棄されており謄本等を取得できないときは、当該抵当権者である会社・法人はその所在が知れないものとして、不動産登記法第70条により、登記権利者の単独申請により、抵当権抹消登記を申請します。

 

休眠担保権抹消登記の単独申請の特例

登記権利者が被担保債権が消滅したことを証する書類(債権証書等)を保管しているときは、不動産登記法第70条第3項前段により、被担保債権の消滅を証する書類がないときは、同項後段(弁済供託による抵当権の抹消登記)を適用できるかどうか検討します。
70条3項後段を適用するには、被担保債権の弁済期から20年が経過していること、元本、利息、損害金の全額を弁済供託したことが要件になります。

 

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