太陽光発電設備に対する担保設定の方法

太陽光発電設備及びその敷地を担保に融資を受ける場合、どのような担保設定の方法が考えられるかについて司法書士が解説致します。

 

太陽光発電設備の敷地に対する担保設定の方法

太陽光発電設備を設置する敷地の権利は所有権の他、地上権、賃借権が考えられます。
そしてこれら敷地に対する権利を担保に融資を行う場合、所有権及び地上権であれば抵当権を、賃借権であれば譲渡担保権又は質権を設定することが一般的です。
(賃借権は債権であるため抵当権を設定することができません。そのため賃借権に担保権を設定する場合、譲渡担保権又は質権を設定する方法によります。)

 

不動産賃借権に質権を設定することの可否
賃貸人の事前の承諾を得ている賃借権(賃借権の譲渡又は賃貸物の転貸をすることができる旨の定めがある登記された賃借権)については譲渡性を有していると解されることから、そのような不動産賃借権については質権を設定し登記することができるとされています。(昭和30年5月16日付民事甲第929号民事局長通達)

 

不動産賃借権を目的とする質権設定の対抗要件は
不動産賃借権に質権を設定した場合の第三者対抗要件は、確定日付の証書による第三債務者に対する質権設定の通知又は第三債務者の承諾及び不動産賃借権を目的とする質権設定登記と解されています。
(不動産賃借権を目的とする譲渡担保権の設定であれば、確定日付の証書による第三債務者に対する質権設定の通知又は第三債務者の承諾及び賃借権移転の登記)

 

太陽光発電設備に対する担保設定の方法

太陽光発電設備は、通常動産に該当することになりますので、太陽光発電設備には譲渡担保権を設定するのが一般的です。

 

動産譲渡登記

動産である太陽光発電設備に譲渡担保権を設定した場合の対抗要件を具備する方法としては、占有改定による発電設備の引渡し(民法)又は動産譲渡登記が考えられますが、金融機関が太陽光発電設備を担保として融資を行う場合、動産譲渡登記を求めるのが一般的です。

 

ただし、動産譲渡登記を利用できるのは、譲渡人(太陽光発電設備の所有者)が法人の場合に限られますので、太陽光発電設備の所有者が個人の場合、動産譲渡登記を利用することはできません。

 

動産譲渡登記を申請するにあたり、その対象となる動産を特定する必要があります。
動産を特定する方法として、動産の特質によって特定する方法(個別動産として特定)と動産の所在によって特定する方法(集合動産として特定)があります。

 

太陽光発電設備を特定する方法としては、個別動産として特定することも可能ですが、太陽光発電設備の場合、ソーラーパネル等設備の損傷、劣化等により、その入れ替え等が想定されますので、その所在によって特定する集合動産として特定する方法が優れているものとされます。(集合動産として特定する場合、登記後に保管場所の所在地に搬入されたソーラーパネル等の設備に対しても登記の効力が及ぶことになります。逆に保管場所の所在地からソーラパネル等が設備が搬出された場合、そのものについては登記の効力が及ばないことになります。)

 

法務省の「動産を特定する方法の記載例」でも、太陽光発電設備を登記する場合、集合動産として特定する方法が紹介されています。

太陽光発電設備を登記する場合
【種類】 太陽光パネル、パワーコンディショナー、架台等の太陽光発電設備一式
【所在】 東京都中野区野方一丁目34番1号
【備考】 保管場所の名称:太陽光中野発電所

実務では、備考欄に設備IDを記載することにより、対象となる太陽光発電設備の特定が行われています。

 

工場抵当権の利用

工場抵当法とは
土地が工場抵当法に定義する「工場」に該当する場合、付加一体物の他に、工場に備え付けられた機械・器具その他工場の用に供する物に対しても抵当権の効力が及ぶことになります。

 

工場抵当法
工場に設定した抵当権の効力は、工場に付加して一体となった物、工場に備え付けた機械器具等にも及びます。
工場抵当法の工場とは、「営業のため、物品の製造、加工、印刷、撮影の目的に使用する場所」のことを言い、「営業のため、電気の供給又は電気通信サービスの提供の目的に使用する場所」も工場とみなされます。

 

太陽光発電設備が設置された土地は、工場抵当法で定める工場に該当します。
つまり、太陽光発電設備が設置された土地に抵当権を設定した場合、その土地に設置された太陽光発電設備に対しても抵当権の効力が及ぶことになります。

 

太陽光発電設備を設置する敷地の権利が所有権の場合、敷地に抵当権を設定することにより、敷地と太陽光発電設備を一括して担保取得することが可能になります。

 

ただし、工場抵当法が適用されるのは敷地の権利が所有権の場合に限られます。
敷地の権利が地上権の場合、抵当権を設定することは可能ですが、工場抵当法は適用されないと解されています。
また、敷地の権利が賃借権の場合、そもそも賃借権には抵当権を設定することができませんので、当然工場抵当法は適用されません。

 

なお、当該土地(工場)に設定された抵当権の効力が太陽光発電設備にも及ぶことを第三者に対抗するためには抵当権設定登記に「機械器具目録」を備え付ける必要があります。

 

太陽光発電設備への担保設定の方法(まとめ)

敷地の権利
所有権 地上権 賃借権
敷地への担保権 抵当権 抵当権

譲渡担保権
質権

発電設備への
担保権

譲渡担保権
工場抵当権

譲渡担保権 譲渡担保権

 

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