国民金融公庫の抵当権抹消登記【登記完了事例】

この度、国民金融公庫の根抵当権抹消登記のご依頼を頂きました。

 

国民金融公庫とは、個人事業者や中小規模事業者向けに融資を行っていた政府系金融機関で、国民生活金融公庫への移行を経て、現在は株式会社日本政策金融公庫がその事業を承継しています。

 

国民金融公庫の変遷
平成11年10月1日、国民金融公庫から国民生活金融公庫へ移行

 

平成20年10月1日、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫及び国際協力銀行が統合し、株式会社日本政策金融公庫が誕生

 

抹消登記の前提登記たる抵当権移転登記の要否 

国民金融公庫の抵当権抹消登記の前提として、(根)抵当権の解除日(抹消原因日付)が日本政策金融公庫への統合日である平成20年10月1日以後の場合には、抵当権を日本政策金融公庫に移転する必要があります。
逆に、解除日が平成20年10月1日より前であるときは、日本政策金融公庫への抵当権移転登記は必要なく、不動産の所有者と登記義務を承継した日本政策金融公庫が共同して抵当権抹消登記を申請します。

 

 

今回ご依頼頂いた根抵当権の解除日は、平成16年3月25日でしたので日本政策金融公庫への抵当権移転登記は不要なケースです。

 

依頼者様からお預かりした不動産登記簿謄本が最新のものではなかったので、最新の登記記録を確認するため登記情報を取得しようとしたところ、登記申請中のため取得できませんでした。

 

ただ、申請中の登記がどのような登記なのか予想は付きました。

 

数日後、再度登記情報を請求。

 

先に申請中であった登記が完了しており、登記情報を取得することができました。

 

登記記録を確認すると予想通りの登記がなされていました。

 

株式会社日本政策金融公庫への抵当権移転登記です。

 

「やっちまったなぁ」と思わず声を上げてしまいました。

 

今回のケースでは、日本政策金融公庫への抵当権移転登記は不要な登記です。

 

本件の国民金融公庫名義の根抵当権は日本政策金融公庫の成立前に解除により消滅しているので、当該根抵当権を日本政策金融公庫が引き継ぎようがありません。

 

これは権利変動の過程に反する無効な登記になります。

 

この場合、抵当権抹消登記の前提として日本政策金融公庫への抵当権移転登記を錯誤抹消する必要があります。

 

移転登記を抹消するとなると、日本政策金融公庫に事情を説明し、必要な書類にハンコをもらう必要があります。

 

これは手間がかかりますので、ダメ元で管轄法務局に移転登記を抹消せずに根抵当権抹消登記が可能かどうかを照会しました。

 

数日後、今回に限り、移転登記を抹消しなくても良い旨の回答をいただきました。

 

十中八九ダメだと思っていたので、期待はしていたもののその意外な回答に正直驚きました。

 

管轄の法務局がこのような判断に至った理由は定かではありませんが、登記は管轄法務局によりその対応がかなり異なることを改めて実感した次第です。

 

しかしなぜ、日本政策金融公庫は移転登記を申請してしまったのでしょうか?
(おそらく担当者のイージーミスだと思うのですが)

 

 

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