内縁解消による財産分与

婚姻届を提出している夫婦(法律婚)が離婚すると、婚姻中に夫婦の協力により形成した実質共有財産の清算分配である財産分与の請求が認められますが、内縁関係を解消した場合は、財産分与を請求することはできるのでしょうか?

 

ここでは、内縁関係を解消時の財産分の請求について解説致します。

内縁関係解消に伴う財産分与請求は可能

まずは結論から言いますと、内縁関係を解消した場合、法律婚の解消(離婚)と同様に、財産分与を請求することは可能です。

〜財産分与請求権の性質〜
@婚姻期間中に夫婦の協力により形成した財産の清算
A有責配偶者の相手方に対する慰謝料
B離婚後の生活保障・扶養

 

内縁関係解消に伴う財産分与の請求については、傍論ではありますが、最高裁判決により肯定されています。

『内縁の夫婦について、離別による内縁解消の場合に民法の財産分与の規定を類推適用することは、準婚的法律関係の保護に適するものとしてその合理性を承認し得る』(平成12年3月10日最高裁決定)

 

内縁解消に伴う財産分与の課税関係

内縁解消に伴い財産分与として財産の給付を受けた場合は、贈与とは取り扱わないので、給付を受けた者については原則課税されないことになります。

 

内縁とは言えない、愛人関係や同棲の解消の際に財産給付を行った場合は、贈与税が課税されることになります。

 

ただし、内縁の解消なのか、それとも愛人関係の解消なのかは、事実認定の問題ですので、税務署に内縁関係の解消でないと認定されれば、財産分与として財産を給付した場合であっても、贈与として課税されることになります。

 

財産分与でも課税される場合
財産分与に係る財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額、その他一切の事情を考慮してもなお多すぎる場合、この多すぎる部分については贈与があったものとして贈与税の課税対象になります。

 

財産分与として不動産を給付した場合の課税関係

@譲渡所得税
分与者に譲渡所得税が課税されます。
不動産や有価証券などの財産を給付した場合には、当該財産を分与時の時価で譲渡したものとして、譲渡所得税の課税対象になります。

 

A不動産取得税
通常、不動産を取得したときは、不動産取得税が課税されますが、財産分与により不動産の給付を受けた場合については、不動産取得税が減免されることがあります。

 

財産分与のうち、婚姻期間中に夫婦の協力により形成した実質共有不動産を清算目的で分与した場合は、不動産取得税は非課税となります。

 

財産分与であっても、内縁解消後の扶養や慰謝料としての性質を有する部分の分与や、内縁関係以前から有していた不動産の分与は、原則通り不動産取得税の課税対象になります。

 

B登録免許税
財産分与として不動産を給付した場合、不動産の所在地を管轄する法務局で登記(名義変更)を行います。
この登記を行う際に、登録免許税を納付する必要があります。
納付額
登録免許税の額ですが、分与を受けた不動産の固定資産税評価額の2%です。

 

【関連記事】財産分与による不動産の名義変更(登記手続)

 

内縁解消による財産分与は課税リスクあり!(まとめ)

内縁解消であっても、財産分与が認められますし、財産分与として財産の給付を受けた場合は、贈与税は課税されないのが原則です。

 

しかしながら内縁解消に伴い財産分与として財産給付を受けた場合、離婚(法律婚の解消)のように、戸籍により内縁関係を解消したことを客観的の明らかにすることができないので、内縁解消が認められないと、贈与があったものとして贈与税が課税されるリスクがあります。

 

贈与税課税の対策の一つとして、家庭裁判所の内縁関係調整調停を利用することが考えられます。
調停が成立すると調停調書が作成されますが、財産の給付が内縁解消による財産分与であることを明確に記載しておくことにより、財産の給付が内縁解消による財産分与によるものであることを証明する一つの資料になりえます。

事実上の夫婦関係にある当事者間で、内縁関係の解消について当事者間の話し合いがまとまらない場合や話し合いができない場合に、家庭裁判所の調停手続きを利用することができます。
調停手続では、内縁関係の解消のみではなく、解消に際しての財産分与や慰謝料についてどうするかといった財産に関する問題も一緒に話し合うことができます。
また、内縁関係を解消した方がよいかどうか迷っている場合にも、この調停手続を利用することができます。” 【裁判所ホームページより引用】

 

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