親権者と未成年の子による不動産の共有は、例えば、亡くなった夫が所有していた不動産を、妻とその未成年の子が共同相続すること等により生じます。
この共有不動産を処分するにどのような手続きが必要なのでしょうか
親権者が未成年者の財産を代理人として処分する場合の手続きで注意すべき点は、特別代理人の選任が必要かどうかです。
親権者が未成年の子を代理して共有不動産全体を売却することができます。
⇒特別代理人の選任は不要です。
未成年者が有する財産は、法定代理人である親権者が管理します。
又、未成年者が有する財産は、未成年者のために親権者は、代理人として処分することもできます。
親権者と未成年の子が共有する不動産につき、未成年の子が有する共有持分を親権者自身に売却する行為は、いわゆる利益相反行為に該当し、親権者は未成年の子を代理して売却することはできません。
この場合、未成年の子のために家庭裁判所に特別代理人の選任を申立て、選任された特別代理人が未成年の子を代理することになります。
親権者と未成年の子が共有する不動産を第三者に売却する行為は、利益相反行為には該当しないので、親権者は未成年の子を代理して共有不動産を売却することができます。
不動産を売却したときは、所有権移転登記を申請しますが、登記申請についても、親権者は未成年の子を代理して登記申請を行うことができます。
親権者A(母)及び未成年の子Bが共有する不動産をCに売却する場合の登記手続き
共有者全員持分全部移転登記を申請し、買主Cに登記名義を変更します。
買主Cと親権者Aが共同して申請します。
登記必要書類
・親権者A及び未成年の子Bの登記識別情報(又は登記済権利証)
・親権者Aの印鑑証明書
・戸籍謄本等
⇒未成年の子の親権者であることが分かるもの
・買主Cの住民票の写し
・固定資産税評価証明書
・登記原因証明情報(売買契約書等)
親権者は未成年の子を代理することができず、特別代理人の選任が必要になります。
親権者と未成年の子が共有する不動産を担保に入れて(抵当権設定)、親権者が銀行等から借り入れる場合、これは、親権者にとっては利益となり、未成年の子にとっては不利益となる行為で利益相反行為に該当するので、親権者は未成年の子を代理することができず、未成年の子のために家庭裁判所に特別代理人の選任を申立て、選任された特別代理人が未成年の子を代理することになります。
抵当権設定登記の手続き
抵当権設定契約は、債権者と親権者及び特別代理人との間で締結します。
抵当権設定登記の申請は、抵当権者と親権者及び特別代理人が共同して申請します。
登記必要書類
・親権者A及び未成年の子Bの登記識別情報(又は登記済権利証)
・親権者Aの印鑑証明書
・特別代理人の印鑑証明書
・戸籍謄本等
・家庭裁判所の選任審判書
・登記原因証明情報(抵当権設定契約書等)
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