相続人の中に行方不明者がいる場合の遺産分割と相続登記

共同相続人のなかに、行方不明者がいたとしても、遺産分割協議は共同相続人全員で行う必要があり、行方不明者を除外して行った遺産分割協議は無効となります。

 

相続人の中に、行方不明者がいる場合に遺産分割協議を行うには、行方不明者のための財産管理人の選任を家庭裁判所に申立て、その選任された財産管理人と遺産分割協議を行います。

 

 

不在者財産管理人の選任の申立て

不在者財産管理人の選任要件
@不在者自身において財産を管理することができないこと
A利害関係人又は検察官からの申し立てがあること
B管理すべき財産が存在すること

@について
不在者が自ら財産管理人をおいているような場合は、この要件を満たさないことになりますが、不在者が財産管理人をおいていることはほとんどないので、通常この要件を満たすことになります。

 

Aについて
相続人は利害関係人に該当しますので、相続人は不在者財産管理人の選任を申立てることができます。

 

Bについて
遺産分割協議のために不在者財産管理人を選任する場合は、不在者は他の相続人とともに相続財産を共有することになるので、この要件は満たすことになります。

 

不在者の疎明
申立人は、不在者財産管理人の選任申立てに際し、行方不明である相続人が不在者であるあることを疎明する必要があります。
不在者とは、従来の住所又は居所を去り、容易に戻る見込みのない者のことをいいます。

 

疎明の方法
住民票や戸籍の附票により住所地を確認して住所地を調査します。

 

また、親族等へ不在者の従前の生活状況、不在となった経緯などを問い合わせ将来帰来する可能性があるかどうか確認します。

 

警察への捜索願を行います。

 

疎明資料として、不在者宛の返戻郵便物、捜索願受理証明書等を提出します。

 

 

不在者財産管理人による遺産分割協議

不在者財産管理人は、保存行為、利用行為、改良行為の権限を有します。

 

遺産分割を行うには家庭裁判所の許可が必要
不在者財産管理人が他の相続人と遺産分割協議を行う場合には、その本来の権限を越えることになるので、家庭裁判所の権限外の行為を行うことの許可を得る必要があります。

 

不在者財産管理人が権限外行為の許可を得る場合、家庭裁判所に遺産分割協議書(案)を提出します。

 

不在者財産管理人は、不在者の法定相続分を下回る遺産分割協議は原則できません。

 

ただし、特別受益や寄与分を考慮した後の具体的相続分を確保していれば、形式的な法定相続分を下回る遺産分割協議も可能とされています。

 

【帰来時弁済型の遺産分割協議】
不在者が帰来する可能性が低く、仮に、帰来した場合であっても、他の共同相続人が不在者の取得すべき財産相当の代償金等を支払う程度の資力があると認められ、かつ不在者に直系卑属がいない場合は、不在者が帰来した時に他の相続人が代償金を支払う内容の遺産分割協議を行うことも可能とされています。

 

遺産分割協議に不在者財産管理人が参加した場合の相続登記

相続財産に不動産があり、遺産分割協議の結果、不動産を取得した相続人は、相続登記を申請し、名義変更を行います。

 

不在者財産管理人が遺産分割に参加していた場合の相続登記の添付書類は次のとおりです。

 

1 相続登記の必要書類
・被相続人の戸籍謄本、除籍謄本
⇒死亡した人の出生入籍から死亡除籍までの記載があるすべて戸籍謄本等

 

・相続人全員の戸籍謄本又は抄本
被相続人が死亡した日以後に発行されたものに限ります。

 

・遺産分割協議書(相続人全員の印鑑証明書付)
⇒不在者財産管理人が実印で押印し、印鑑証明書を添付します。

 

・申請人(不動産を取得した相続人)の住民票の写し

 

・固定資産税評価証明書

 

・相続関係説明図
(相続関係説明図を添付すると登記完了後に相続証明書(戸籍謄本等)の原本還付を受けることができます。)

 

・被相続人の除の住民票又は除の附票(本籍地の記載があるもの)
⇒被相続人の登記簿上の氏名住所と最後の氏名住所異なる場合又は、被相続人の登記簿上の住所と本籍地が異なる場合に必要

 

不在者財産管理人の権限を証する書面
⇒家庭裁判所の選任審判書
 家庭裁判所の権限外行為の許可書

 

 

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