
被相続人(死亡した人)が所有していた不動産は、遺産分割が成立するまでの間は、共同相続人が法定相続分に従い共有することになります。
この状態を遺産共有といいます。
例えば、夫が死亡し、その相続人が妻と子2人の場合、遺産分割が成立するまでの間、亡夫の不動産は妻4分の2、子各4分の1の割合で共有することになります。
遺産分割成立前の法定相続分による遺産共有関係を登記することができます。
この登記を法定相続による共同相続登記と呼んでいます。
ただし、遺産分割により不動産を取得した相続人は法定相続による相続登記を経由しなくても直接自己名義の相続登記を申請することが可能なので、遺産分割が成立している又は成立する見込みがある場合は法定相続による相続登記をわざわざ申請をする必要性はないといえます。
先の例でいえば、遺産分割協議の結果、妻が単独で相続することになった場合、妻4分の2、子各4分の1の法定相続による相続登記を行うことなく、妻単独名義の相続登記を申請することができます。
実務において、法定相続による相続登記が行われるのは次のような場合です。
・換価分割(相続不動産を第三者に売却して換金する手続)の前提として共同相続人全員名義で相続登記を行う場合
・遺産分割が成立する見込みが立たないので、一応法定相続分で相続登記を行っておく場合
・相続人の債権者がその相続分を差し押さえるために債権者代位により法定相続分で相続登記を代位申請する場合
法定相続による相続登記を行う場合は、法定相続人はだれであり、その法定相続分の割合はどれだけかを正確に理解しておく必要があります。
血族相続人の相続順位 | 血族相続人 | 法定相続分 | |
第一順位 | 子または代襲相続人 | 配偶者2分の1 | 子2分の1 |
第二順位 | 直系尊属 | 配偶者3分の2 | 直系尊属3分の1 |
第三順位 | 兄弟姉妹または代襲相続人(甥姪) | 配偶者4分の3 |
兄弟姉妹4分の1 |
・配偶者は常に相続にとなる。
・血族相続人がいるときは、配偶者は血族相続人と共同で相続することになる。
・同順位の血族相続人が複数いる場合の相続分は、その頭数による(ただし、兄弟姉妹は例外有)
・第二順位の直系尊属は第一順位の相続人がいない場合に相続人となる
・第三順位の兄弟姉妹は第一及び第二順位の相続人がいない場合に相続人となる
相続人1人からの申請が可能
法定相続による相続登記の申請は保存行為に該当する行為とされていますので、各相続人は単独で相続人全員のために申請することができるとされています。
相続登記を申請すると申請者に登記識別情報が交付されます。
登記識別情報とは、従前の登記済権利証書(権利証)と同様な役割を果たすものです。
法定相続による相続登記は、申請人にならなかった相続人にはこの登記識別情報が交付されません。
たとえば、相続人が妻および子である場合、子は、妻2分の1、子2分の1の法定相続による相続登記を単独で申請することができるが、申請人にならなかった妻には、相続登記完了後に登記識別情報が交付されません。
法定相続による相続登記を申請する場合は、共同相続人全員が申請人になることが望ましいです。
(申請人以外は登記識別情報が交付されない、自己の相続分について勝手に登記されたなど、相続人間で争いなることがあるので注意しましょう。)
甲野太郎(被相続人)の相続人甲野花子(妻)、相続人甲野一郎(長男)、相続人乙野梅子(長女)が法定相続分により相続登記を行う場合
相続登記に必要な書類
@被相続人甲野太郎の出生から死亡までの戸籍・除籍謄本等
A被相続人甲野太郎の除の住民票
B相続人全員の戸籍謄本(又は抄本)および住民票の写し
C固定資産税評価証明書
詳細:
法定相続による相続登記の必要書類
登記申請書記載例
登記申請書
登記の目的 所有権移転
原 因 平成○年○月○日相続
相 続 人 (被相続人 甲野太郎)
(申請人)○○県○○市○○町○丁目○番地
持分2分の1 甲野 花子 印
(申請人)○○県○○市○○町○丁目○番地
持分4分の1 甲野 一郎 印
(申請人)○○県○○市○○町○丁目○番地
持分4分の1 乙野 梅子 印
連絡先の電話番号 000−0000−0000
添付情報
登記原因証明情報 住所証明情報
平成○年○月○日申請 ○○ 法 務 局
課 税 価 格 金2,000万円
登録免許税 金8万円
不動産の表示
不動産番号 1234567890123
所 在 ○○市○○町○丁目
地 番 ○番
地 目 宅 地
地 積 ○○○・○平方メートル
不動産番号 0987654321012
所 在 ○○市○○町○丁目○番地
家 屋 番 号 ○番
種 類 居 宅
構 造 木造かわらぶき2階建
床 面 積 1階 ○○・○○平方メートル
2階 ○○・○○平方メートル
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