農地・山林の相続登記

このページでは、農地又は山林を相続したときの相続登記について、司法書士が解説します。

 

農地の相続には農業委員会の許可は不要
農地を売買、贈与により取得するには、耕作目的であれば農地法第3条の許可が、転用目的であれば農地法第5条の許可が原則必要になります。
それに対して農地の相続の場合、農地法の許可なく農地を取得することができます。
農業に従事していない相続人であっても、法律の上では、農地を相続することが可能になっています。

 

山林については、相続による取得の場合はもとより、売買や贈与による取得の場合であって、許可等は不要です。

 

特定の相続人に農地・山林を相続させる内容の遺言書があれば、遺言書で定められた特定の相続人が農地又は山林を取得することになりますが、そのような遺言書がないときは、法定相続人全員が法定相続分に応じて農地又は山林を共有することになります。

 

遺言相続
農地の所有者である父が、長男Aに所有する農地・山林のすべてを相続させる内容の遺言書を作成していた場合、遺言者である父が死亡して相続が開始すると、父が残した遺言が効力を生じ、農地・山林のすべてを長男Aが相続により取得します。このような遺言による相続を遺言相続と言います。

 

法定相続
上記の遺言が無効であったり、そもそも遺言書を作成していなかった場合、民法の規定に従い相続することになります。これを法定相続と言います。

 

長男Aの他、相続人に次男B、三男Cがいる場合、その父が死亡し相続が開始すると、父が所有していた農地・山林のすべてについて、長男A、次男B及び三男Cが法定相続分である3分の1の割合で共有することになります。この状況を遺産共有といいます。

 

遺産共有を解消する手続きが遺産分割
この三兄弟による遺産共有から長男Aの単独所有にするには、遺産分割を行う必要があります。
遺産分割には、相続人全員の協議により分割する協議分割、家庭裁判所の調停により分割する調停分割、家庭裁判所の審判により分割する審判分割があります。
調停分割又は審判分割は、相続人の中に協議に応じない者がいる、協議をしたが合意できないため遺産を分割することができない場合に利用することができます。

 

未分割のまま売却する場合
相続人の誰もが、農地山林を取得することを望んでいないときは、未分割のまま売却することができます。
この場合でも、売却の前提として法定相続分により相続登記を行う必要があります。
相続した農地を売却する場合、農業委員会又は都道府県知事の許可が必要になります。
(市街化区域内の農地を転用目的で売却する時は、農業委員会への届出)

 

【遺産分割協議書例】

遺産分割協議書

 

被相続人甲(本籍地 省略)は、令和2年2月2日に死亡したので、共同相続人であるA、B及びCは、被相続人の遺産について、以下のとおり遺産分割協議をした。
1 相続人Aは、次の不動産を取得する。

 

換価分割の場合の条項例
共同相続人全員は、下記の不動産については、これを売却換価し、売却代金から売却費用(測量費用、不動産仲介手数料、登録免許税、所得税及び住民税、司法書士報酬等、不動産を売却するのに必要な一切の費用をいう。)を控除した金員を法定相続分に応じて分割することに合意する。

 

所在 愛知県○○市○○町
地番 ○番
地目 田
地積 ○○○・○○平方メートル

 

所在 愛知県○○市○○町
地番 ○番
地目 畑
地積 ○○○・○○平方メートル

 

以上の協議を証するため、この協議書を3通作成し、各自1通ずつ所持する。

 

令和2年10月1日

 

住所省略 A 実印
住所省略 B 実印
住所省略 C 実印

 

相続登記の申請書
@遺産分割協議によりAが単独相続した場合

 

登記申請書

 

登記の目的 所有権移転
原   因 令和2年2月2日相続
相 続 人(被相続人 甲)
○○市○○町○丁目○番○号
(申請人) A 印
連絡先の電話番号00−0000−0000

 

添付情報
登記原因証明情報 住所証明情報

 

登記識別情報の通知を希望します。

 

令和○年○月○日申請 ○○ 法 務 局

 

課 税 価 格 金○○○万円
登録免許税 金○万円

 

不動産の表示
不動産番号 1234567890987
所在 愛知県○○市○○町
地番 ○番
地目 田
地積 ○○○・○○平方メートル

一般的な添付書類
登記原因証明情報
・被相続人甲の出生から死亡までの戸籍謄本等
・相続人全員(ABC)の戸籍謄本
・遺産分割協議書(BCの印鑑証明書)
住所証明情報
・相続人Aの住民票の写し

 

A換価分割した場合の相続登記の申請書

 

登記申請書

 

登記の目的 所有権移転
原   因 令和2年2月2日相続
相 続 人(被相続人 甲)
○○市○○町○丁目○番○号
(申請人)持分3分の1 A 印
○○市○○町○丁目○番○号
(申請人)持分3分の1 B 印
○○市○○町○丁目○番○号
(申請人)持分3分の1 C 印
連絡先の電話番号00−0000−0000

 

添付情報
登記原因証明情報 住所証明情報

 

登記識別情報の通知を希望します。

 

令和○年○月○日申請 ○○ 法 務 局

 

課 税 価 格 金○○○万円
登録免許税 金○万円

 

不動産の表示
不動産番号 1234567890987
所在 愛知県○○市○○町
地番 ○番
地目 田
地積 ○○○・○○平方メートル

一般的な添付書類
登記原因証明情報
・被相続人甲の出生から死亡までの戸籍謄本等
・相続人全員(ABC)の戸籍謄本
住所証明情報
・相続人ABCの住民票の写し

 

農地・山林を相続したときの届出
@農地を相続したとき
農地を相続したものは、その農地の存する市町村の農業委員会に農地を相続した旨の届出を行う必要があります。

農地法第3条の3
 農地又は採草放牧地について第3条第1項本文に掲げる権利を取得したものは、同項の許可を受けてこれらの権利を取得した場合、同項各号(第12号及び第16号を除く。)のいずれかに該当する場合その他農林水産省令で定める場合を除き、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、その農地又は採草放牧地の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければならない。

 

A山林を相続したとき
山林を相続したときは、その山林の存する市町村長へ、その旨の届出が必要になります。

森林法第10条の7の2 
 地域森林計画の対象となっている民有林について、新たに当該森林の土地所有者となった者は、農林水産省令で定める手続きに従い、祖町村の長にその旨を届け出なければならない。ただし、国土利用計画法第23条第1項の規定による届け出をしたときはこの限りでない。

 

 

司法書士へのお問い合わせ

司法書士八木事務所では、相続登記(不動産相続による所有権移転登記)に関するご相談、ご依頼を承っております。
お気軽にお問い合わせください。

 

お問い合わせ
1 お電話によるお問い合わせ 
  052-848-8033

 

2 お問い合わせフォームからのお問い合わせ

 

お電話は平日10時から20時まで受け付けております。土日祝日は休業日ですが、事務所にいる時は対応いたしますので、一度おかけになってみてください。

 

お問い合わせフォームからのお問い合わせに対しては原則24時間以内に返信します。
(複雑で調査を要するお問い合わせは、回答までにお時間を頂くことがございます。)

 

正式なご依頼前に、見積手数料、相談料等の名目で費用を請求することは一切ございませんので、安心してお問い合わせください。

 

〒467−0056 
名古屋市瑞穂区白砂町二丁目9番地 
瑞穂ハイツ403号
司法書士八木隆事務所