相続放棄した者がいる場合の相続登記

左図の相続関係図をもとに、相続放棄をした者がいる場合の遺産分割協議及び相続登記について説明します。

 

 

 

 

 

 

 

X(被相続人)が死亡したときの相続人は、配偶A、子B、子Cの3人です。
法定相続分は配偶者A1/2、子B1/4、子C1/4になります。

 

遺産分割協議はこの3人で行います。
遺産の中に不動産がある場合の相続登記(不動産の名義変更)は、この3人が署名押印した遺産分割協議書が必要になります。

 

次に相続人の中に相続放棄をした者がある場合について考えてみます。

 

@配偶者Aが相続放棄した場合
相続放棄により配偶者Aは相続開始の時から相続人でなかったものとみなされます。
その結果、Xの相続人は子Bと子Cの2人になります。

 

法定相続分は子B1/2、子C1/2になります。

 

遺産分割協議は子Bと子Cで行います。
相続登記には、子Bと子Cが署名押印した遺産分割協議書と配偶者Aが相続放棄をしたことを証する書面として「相続放棄申述受理証明書」が必要になります。

 

A子Bが相続放棄した場合
相続放棄により子Bは相続開始の時から相続人でなかったものとみなされます。
その結果、Xの相続人は配偶者Aと子Cの2人になります。

 

法定相続分は配偶者A1/2、子C1/2になります。
子Bの相続放棄により配偶者Aの法定相続分は増加しません。

 

遺産分割協議は配偶者Aと子Cで行います。
相続登記には、配偶者Aと子Cが署名押印した遺産分割協議書と子Bが相続放棄をしたことを証する書面として「相続放棄申述受理証明書」が必要になります。

 

B配偶者Aと子Bが相続放棄した場合
相続放棄により配偶者A及び子Bは相続開始の時から相続人でなかったものとみなされます。
その結果、Xの相続人は子Cのみとなります。

 

子Cの単独相続になりますので、遺産分割協議の余地はなく、相続登記に遺産分割協議書の添付は不要です。配偶者Aと子Bが相続放棄をしたことを証する書面として「相続放棄申述受理証明書」が必要になります。

 

C子Bと子Cが相続放棄した場合
子Bと子Cの相続放棄により第一順位の血族相続人がいなくなるので、相続権は第二順位の血族相続人に移転します。
第二順位の血族相続人は、被相続人の直系尊属です。

 

本相続関係図の場合、Xの第二順位の血族相続人はXの母Eになります。

 

子Bと子Cが相続放棄した結果、配偶者Aと第二順位の血族相続人である母Eの2人が相続人になります。父Dは既に死亡しているので相続人になりません。

 

法定相続分は配偶者A2/3、母E1/3になります。

 

遺産分割協議は配偶者Aと母Eで行います。
相続登記には、配偶者Aと母Eが署名押印した遺産分割協議書と子Bと子Cが相続放棄をしたことを証する書面として「相続放棄申述受理証明書」が必要になります。

 

D母Eが相続放棄した場合
唯一の第二順位の血族相続人である母Eが相続放棄すると、第一順位、第二順位の血族相続人がいなくなります。
この場合、相続権は第三順位の相続人に移転します。

 

第三順位の血族相続人は、被相続人の兄弟姉妹です。

 

本相続関係図の場合、Xの第三順位の血族相続人はXの弟Fになります。
子B、子C、母Eが相続放棄した結果、相続人は配偶者Aと第三順位の血族相続人である弟Fの2人が相続人になります。

 

法定相続分は配偶者A3/4、弟Fが1/4になります。

 

遺産分割協議は配偶者Aと弟Fで行います。
相続登記には、配偶者Aと弟Fが署名押印した遺産分割協議書と子C、子D、母Eが相続放棄をしたことを証する書面として「相続放棄申述受理証明書」が必要になります。

 

E弟Fが相続放棄した場合
唯一の第三順位の血族相続人である弟Fが相続放棄すると、血族相続人がいなくなり、配偶者Aが単独相続することになります。

 

配偶者Aの単独相続になりますので、遺産分割協議の余地はなく、相続登記に遺産分割協議書の添付は不要です。子B、子C、母E、弟Fが相続放棄をしたことを証する書面として「相続放棄申述受理証明書」が必要になります。

 

F配偶者A、子B、子Cが相続放棄した場合
子Bと子Cの相続放棄により第一順位の血族相続人がいなくなるので、相続権は第二順位の血族相続人に移転します。
配偶者が相続放棄することにより配偶者相続人がいなくなります。

 

その結果、唯一の第二順位の血族相続人である母Eが単独相続することになります。

 

また、このケースで母Eが相続放棄すると、相続権は第三順位の血族相続人に移転し、唯一の第三順位の血族相続人である弟Fが単独相続することになります。

 

更に、唯一の第三順位の血族相続人である弟Fが相続放棄すると、Xの相続人は誰もいないことになり、相続財産は裁判所選任の相続財産管理人により管理清算されます。

 

清算の結果、残余財産があるときは、国庫に帰属します。

 

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