○○信用販売購買利用組合を抵当権者とする抵当権抹消登記

ここでは、○○信用販売購買利用組合を抵当権者とする抵当権抹消登記の申請について備忘録として記録しました。

 

○○信用販売購買利用組合とは
明治33年9月1日に施行された産業組合法(明治33年法律第34号)を根拠に組合員の産業又はその経済の発達を企図するために設立された産業組合のこと
産業組合は、信用組合、販売組合、購買組合及び利用組合の4種類があり、これらを兼ねることもできた。

 

産業組合を設立するには、設立者が定款を作成し、主たる事務所所在地の地方長官の許可を得る必要があった。
また、主たる事務所所在地において設立の登記を行う必要があり、その設立登記は地方長官の嘱託によりなされた。

 

登記所には組合原簿が備え置かれ、組合原簿は登記簿の一部のみなされ、組合原簿の記載は登記とみなされた。

 

産業組合の解散、市町村農業会への承継
昭和18年9月15日施行の農業団体法(昭和18年法律第46号)第八十八条の規定により、市町村農業会を設立する場合においては、産業組合は行政長官からの解散命令により解散することになった。

 

産業組合の解散時期は市町村農業会の成立時とされた。
産業組合が有した権利義務は市町村農業会が包括承継することになった。

 

産業組合の解散の時点で被担保債権が存在していたときは、当該被担保債権は市町村農業会に包括承継され、抵当権の附従性により抵当権も市町村農業会が承継したことになる。
この場合、産業組合を抵当権者とする抵当権抹消登記申請の前提として産業組合から市町村農業会への抵当権移転登記が必要と解される。

 

産業組合の解散の時点で被担保債権が既に消滅していおり、抵当権設定登記が抹消されずに残っている場合は、産業組合が有する登記申請義務を市町村農業会が承継したことになるので、当該抵当権抹消登記は、産業組合の権利義務を承継した法人として市町村農業会が申請することになる。

 

産業組合が農業団体法第八十八条の定め以外の理由により解散した場合
被担保債権が消滅していなければ債権を残したまま清算結了登記したことになり、被担保債権は消滅しているが抵当権抹消登記をしていなければ登記申請義務を残したまま清算結了登記したことになり、いずれにおいても清算結了しておらず、いまだ清算法人として存続していることになる。

 

抵当権抹消登記は、当時の清算人が法定代理人として行うが、当時の清算人全員が死亡している場合は、地方長官(都道府県知事)に清算人の選任を申立てる。

 

市町村農業会の解散
市町村農業会は昭和22年12月15日施行の「農業協同組合法の制定に伴う農業団体の整備等に関する法律(昭和22年法律第133号)」により農業団体法が廃止されたことにより昭和23年8月15日をもって解散した。

 

地方農業会が有した権利義務の帰属
地方農業会が有する権利義務は農業協同組合が包括承継するといった法規定は存在しない。
産業組合又は市町村農業会を抵当権者とする抵当権設定登記が抹消されていない場合、当該地方農業会は登記申請義務を残したまま解散・清算結了したことになり、この清算事務の範囲で清算法人として存続していることになる。

 

産業組合又は市町村農業会を抵当権者とする抵当権抹消登記の申請
地方農業会の清算結了登記を抹消することなく、所有権登記名義人は、地方農業会の当時の清算人と共同して、抵当権抹消登記を申請することができる。

 

当時の清算人全員が死亡している場合
所有権登記名義人は利害関係人として、市町村農業会の主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所に清算人の選任を申立て、選任された清算人と共同して抵当権抹消登記を申請することができる。

 

抵当権抹消登記の登記原因
被担保債権を弁済したことが判明しなくても、通常、被担保債権は時効により消滅しているものと考えられる。
被担保債権の消滅時効により抵当権が消滅した場合の抵当権抹消登記の登記原因は「時効消滅」、登記原因日付は消滅時効の起算日である「弁済期の翌日」である

 

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