一般定期借地権の登記

建物所有を目的とする賃貸借契約又は地上権設定契約は、借地契約と呼ばれ借地借家法が適用されます。

 

借地借家法の規定により、借地契約の契約期間が満了しても、地主は正当事由がなければ貸した土地の返還を受けることができず、借地権者の土地利用権が保護されています。

 

地主が、契約期間満了により確実に土地の返還を受けたい場合は、定期借地契約を締結します。

 

定期借地には次の3種類があります。

・一般定期借地権
事業用定期借地権
・建物譲渡特約付借地権

 

ここでは、存続期間を50年以上と定める一般定期借地権について解説します。

 

定期借地契約の成立要件

存続期間
借地権の存続期間(契約期間)を50年以上とすること。

 

通常の借地権の存続期間は30年以上を定めなければなりませんが、定期借地権を設定するには50年以上の存続期間を定める必要があります。なお、借地借家法は存続期間の上限については何ら定めていませんので、100年以上の存続期間を定めることも可能です。

 

所有する建物は居住用でも事業用でも構いません。

 

特約の締結
⇒50年以上の存続期間を定めた場合に限り、次の3つの特約を締結することができます。

3つの特約
@更新しない特約
A建物築造による存続期間の延長をしない特約
B借地借家法13条の建物買取請求権がない旨の特約

なお、この特約については、公正証書による等書面で行う必要があります。

公正証書による等書面とは
借地契約自体を公正証書による等書面で行うことは必要はなく、特約についてのみ公正証書による等書面で行わなければならない。

 

公正証書による等書面とは、特約を何らかの書面で行っていればよく、公正証書は書面の例示

3つの特約
@更新しない特約
通常の借地契約では、存続期間の経過により借地契約が確定的に終了し、契約更新はしないといった特約は借地借家法により無効となるが、存続期間を50年以上と定め且つこの特約を書面により行うことにより、契約を更新しないという特約を有効に締結することができます。
この特約により地主は契約期間の満了時に土地の返還を確実に受けることができます。(借地権者は契約期間の満了により土地を地主に明け渡さなければなりません。)

 

A建物築造による存続期間の延長をしない特約
借地借家法では借地契約の残存期間を超えて存続する建物を再築したときは、最長20年の延長が認められています。通常の借地契約では、この規定に反する特約は無効になりますが、存続期間を50年以上と定め且つこの特約を書面により行うことにより、建物再築による存続期間の延長をしない特約を有効に締結することができます。

 

B借地借家法13条の建物買取請求権がない旨の特約
借地借家法により、借地契約が期間満了により終了したときは、借主は貸主に対して借地上の建物を時価で買い取ることを請求することが認められています。

 

通常の借地契約では建物買取請求権を認めない特約は無効になりますが、存続期間を50年以上と定め且つこの特約を書面により行うことにより、建物買取請求権がない旨の特約を有効に締結することができます。

 

一般定期借地権の設定登記

定期借地権を登記するには、賃貸人と賃借人が共同して、不動産の所在地の法務局に賃借権設定登記を申請します。

 

添付書類
・登記識別情報又は登記済権利証
⇒賃貸人(不動産所有者、地主)が不動産を取得したときは通知されたもの

 

・賃貸人の印鑑証明書(作成後3ヶ月以内のもの) 

 

・固定資産税評価証明書

 

・登記原因証明情報(定期借地契約証書、報告形式の登記原因証明情報)

 

報告形式の登記原因証明情報記載例

登記原因証明情報

 

1 登記申請情報の要項
(1)登記の目的 賃借権設定
(2)登記の原因 令和○年○月○日設定
(3)当事者 権利者 ○○市○○町○丁目○番○号 
                    法務太郎
        義務者 ○○市○○町○丁目○番○号
                     法務花子
(4)不動産の表示
  (省略)

 

2 登記の原因となる事実又は法律行為
賃借人Aと賃貸人Bは、令和○年○月○日、本件不動産につき、下記内容の賃借権設定契約を書面によって締結した。

 

目的 建物所有
賃料 1月金○円
支払時期 毎月○日
存続期間 契約日から50年
特約 譲渡、転貸ができる
借地借家法第22条の特約
契約の更新をしない
建物の築造による存続期間の延長をしない
借地借家法第13条の建物買取請求をしない

 

令和○年○月○日 ○○法務局
上記の登記原因のとおり相違ありません。

 

権利者 ○○市○○町○丁目○番○号
      法務太郎

 

義務者 ○○市○○町○丁目○番○号
      法務花子

 

登記申請書の記載例

登記申請書

 

登記の目的 賃借権設定
原   因 令和○年○月○日設定
目   的 建物所有
賃   料 1月○万円
支払時期  毎月○日
存続期間  令和○年○月○日から50年
特   約 譲渡、転貸ができる
      借地借家法第22条の特約

 

権利者 ○○市○○町○丁目○番○号
    法務太郎
義務者 ○○市○○町○丁目○番○号
    法務花子

 

添付書類
登記識別情報(又は登記済証)登記原因証明情報 印鑑証明書 代理権限証書

 

令和○年○月○日 ○○法務局

 

課税価格  金○○円
登録免許税 金○○円

 

不動産の表示(省略)

 

登録免許税
固定資産税評価額の1%です。

 

 

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