相続登記(相続による不動産の名義変更)

相続登記とは何?
被相続人(お亡くなりになられた方)が所有していた不動産(土地・建物・マンション)を相続なされた方が、被相続人から相続人(ご自身)へ不動産の登記名義を変更する手続きのことをいいます。

 

相続登記の申請手続
不動産登記を所管する役所は法務局になります。
相続登記の申請は、相続した不動産の所在地を管轄する法務局において行います。
管轄違いの相続登記の申請は、却下されてしまいます。

 

 

このページは、不動産を相続したときに行う名義変更、いわゆる「相続登記」の基本事項について、登記の専門家である司法書士が解説した記事になっています。

 

相続登記の基本を解説

遺言書の有無を調査確認する!

これは相続登記の申請に限ったことではないのですが、相続が開始したときは、被相続人が遺言を作成していたかどうかを調査確認する必要があります

 

遺言があれば、遺言の内容に従い遺産を分割します。(遺言相続)
遺言がないときは、相続人全員の協議により遺産を分割します。(法定相続)

 

相続させる旨の遺言があれば、遺産分割協議なしで相続登記ができる!

 

相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言)とは、一般には、次のような内容の遺言のことを言います。

遺言書

 

第○条 遺言者は、遺言者の有する下記の不動産を、遺言者の長男甲野一郎に相続させる。

 

不動産の表示
所在 名古屋市中区○○町○丁目
地番 ○○番
地目 居宅
地積 ○○○・○○平方メートル

この遺言があれば(遺言が有効であることが前提ですが)、甲野一郎は、遺産分割協議を経ることなく、被相続人が所有していた名古屋市中区○○町○丁目○○番の土地を相続により取得することができます。

 

相続させる旨の遺言により不動産を相続した相続人は、遺言書を添付することにより単独で相続登記を申請することができます。

 

【参考】遺言による相続登記の必要書類

遺言を執行するには、家庭裁判所の検認が必要です。
公正証書遺言及び法務局保管の自筆証書遺言以外の遺言を執行するには、遺言書につき家庭裁判所の検認を受ける必要があります。
相続登記の添付書類として公正証書遺言及び法務局保管の自筆証書遺言以外の遺言書を提出するときは、家庭裁判所の検認済の遺言書を提出する必要があります。

 

遺言がないときは遺産分割協議を行う!

遺言がないときは、相続人全員の協議により遺産を分割します。(協議分割)
遺産分割協議は、必ずしも法定相続分に応じて分割する必要はなく、特定の相続人に全遺産を相続させる内容の遺産分割であっても相続人全員が納得するのであればこのような分割も有効となります。

 

基本どのように遺産を分割しても相続人全員が合意すれば問題はありませんが、遺産が多く相続税が課税されるケースでは、分割の仕方により納税額が異なってきますので税理士の適切なアドバイスを受けながら、遺産分割協議を進める必要があります。

 

遺産分割協議により不動産を相続した相続人は、遺産分割協議書を添付することにより単独で相続登記を申請することができます。

 

【参考】遺産分割協議による相続登記の必要書類

遺産分割協議書への押印は実印で!
遺産分割協議書に押印する印鑑について民法では何ら定めがありませんが、相続登記の申請の際、法務局に提出する遺産分割協議書への押印については、実印(市町村に登録している印鑑)を用いなければならないとされています。
また、実印であることを証明するため印鑑証明書の添付が求められます。
遺産分割協議書により相続登記を申請する相続人は、他の相続人から遺産分割協議書に実印で押印してもらい、印鑑証明書を預かる必要があります。

 

遺産分割協議ができないときは、家庭裁判所で遺産分割

遺産分割協議ができない、または遺産分割協議がまとまらないときは、相続人は家庭裁判所に遺産分割を請求することができます。

 

家庭裁判所による遺産分割には、「調停分割」と「審判分割」があります。
調停分割は、家庭裁判所関与のもと、相続人間の話し合いにより、遺産分割について合意形成を目指す手続きです。

 

審判分割は、家庭裁判所が、法に基づき遺産を分割する手続きです。
相続人は調停または審判のいずれかを申立てることができますが、審判を申立てた場合、家庭裁判所の職権により審判手続に移行することが多いので、先ずは調停申立てをするのが一般的となっています。

 

調停が不調に終わると、強制的に審判手続に移行します。

 

調停により不動産を相続したときは調停調書を、審判により不動産を相続したときは審判書を添付することにより相続登記を申請することができます。

 

【参考】遺産分割調停による相続登記の必要書類

 

 

法定相続分で相続登記をすることもできます

遺言や遺産分割がなくても法定相続分で相続登記することができます。
例えば、相続人が配偶者と子2名の場合、配偶者4分の2、子各4分の1の割合で相続登記(共同相続)をすることができます。
この登記は、当該不動産を直ちに売却する場合などに利用されます。

 

【参考】法定相続による共同相続登記

 

 

相続登記の手続きは司法書士に依頼することができます

お仕事等で忙しい、手続きの仕方が分からない等、不動産を相続することになったがご自身で相続登記の手続きを行うのが難しい方は、名古屋の司法書士八木隆事務所にご相談ください。

 

 

よくある相続登記Q&A

相続登記には申請期限はありますか?

不動産を相続しても相続登記の申請は義務ではありませんので、申請期限はありません。
ただし、遺言または遺産分割により、自己の法定相続分を超える相続分を取得したときは、相続登記をしなければ法定相続分を超える相続分の取得を第三者に主張することができないので、不動産を相続したときは速やかな相続登記を行うことが推奨されます。

 

※令和6年4月1日より相続登記の義務化が開始されます。
原則、相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内の申請が義務づけられます。

相続登記にかかる費用を教えてください。

相続登記申請の際、登録免許税を納付する必要があります。
相続登記による登録免許税の額は、相続した不動産の固定資産税評価額に1000分の4を乗じた額になります。
相続した不動産の固定資産税評価額の総額が1000万円の場合、相続登記の登録免許税の額は4万円になります。

司法書士に相続登記の手続きを依頼した場合、何をしてもらえるのですか?

依頼者様の代理人として、登記申請書を作成し、登記所に相続登記を申請します。
また、遺産分割協議書、相続関係説明図等の相続登記に必要な書類を作成します。

司法書士に依頼した場合に支払う手数料(司法書士報酬)を教えてください。

当事務所が相続登記の依頼を受けた場合の手数料の基本料金は38,500円(税込)になります。
ただし、案件の難易度によりお支払い頂く手数料が変動します。
相続内容を伺ったうえで、お見積額を提示させた頂きます。(お見積りは無料ですので、お気軽にお問い合わせください。)

司法書士に戸籍謄本等の収集を依頼することができますか?
相続登記の手続きをご依頼された場合、当該相続登記の申請に必要な範囲内であれば戸籍謄本等を取得することができます。相続登記とは全く関係のない目的で、戸籍謄本等の収集のみのご依頼は承ることができませんのでご了承ください。
遺産である不動産を売却して売却代金を相続人で分ける予定ですが、相続登記は必要ですか。

売却による買主への所有権移転登記の前提として相続登記が必要になります。
相続登記の方法としては、法定相続分で共同相続人全員名義の相続登記を行う方法又は、便宜的に代表相続人の単独名義により相続登記を行う方法があります。
通常は、前者の方法により相続登記を行いますが、相続人の数が非常に多い場合等は、後者の方法が利用されることがあります。

私に「不動産を相続させる」と書かれた遺言書が見つかりました。どのような手続きが必要ですか。

特定の相続人に特定の不動産を相続させる旨の遺言があれば、遺産分割協議を経ることなく、相続登記を申請することができますが、当該遺言が公正証書遺言以外の場合、家庭裁判所での『遺言検認手続』が必要になります。
遺言相続による相続登記の申請には、遺言書が添付書類の一部になりますが、公正証書遺言以外の遺言の場合、家庭裁判所の検認を受けた遺言書を添付する必要があります。

相続人が1人の場合の相続登記の手続きについて教えてください。
相続人が1人の場合、被相続人が所有していた財産のすべてをその相続人が当然に相続することになるので、被相続人が不動産を所有していたときは、直ちに相続登記を申請することができます。
他に相続人がいる場合の相続登記の手続きを教えてください。

特定の相続人に相続させる旨の遺言がなければ、相続人全員による『遺産分割協議』が必要になります。
遺言により遺産分割が禁止されていない限り、相続人はいつでも他の相続人に対して、遺産分割の協議を行うこと求めることができます。(遺産分割協議)
遺産分割協議が整わない又は協議ができない場合は、相続人は家庭裁判所に遺産分割を請求することができます。(遺産分割調停・遺産分割審判)

遺産分割協議が成立する前に相続人の1人が死亡しました。この場合の遺産分割協議をどのように行えばいいのですか?

遺産分割協議が成立する前にその相続人が死亡し更に相続が開始することを数次相続といいます。遺産分割協議には死亡した相続人の相続人が協議に参加することになります。
【参考】数次相続の登記手続

相続人の中に認知症により判断能力に問題がある者がいます。遺産分割協議にあたり、どのような手続きが必要になりますか

家庭裁判所に成年後見等開始審判の申立てを行います。
残存する判断能力の程度により『後見』・『保佐』・『補助』のいずれかの審判を申立てます。
 後見開始の審判がなされた場合、原則、後見人が被後見人を代理して遺産分割協議を行います。
 保佐開始の審判がなされた場合、被保佐人が遺産分割協議を行うには保佐人の同意が必要になります。また、保佐人に遺産分割に関する代理権が付与されたときは、保佐人が被保佐人を代理して遺産分割協議を行うことができます。
 補助開始の審判がなされた場合、補助人に遺産分割に関する同意権が付与されたときは、被補助人が遺産分割協議を行うには補助人の同意が必要になります。また、補助人に遺産分割に関する代理権が付与されたときは、補助人が被補助人を代理して遺産分割協議を行うことができます。
司法書士は後見開始審判の申立書を作成することができます。遺産分割協議にあたり後見人等の選任が必要な場合は、当事務所にご相談ください。

相続人の中に未成年者がいます。遺産分割協議にあたり必要な手続きを教えてください。

原則、親権者等の法定代理人が未成年者を代理して遺産分割協議を行います。
ただし、同一の相続について親権者と未成年者がともに相続人である場合、当該相続に関しては親権者等は未成年者を代理して遺産分割協議を行うことができない(当該行為は利益相反行為に該当)ので、未成年者のために家庭裁判所に特別代理人の選任を申立てる必要があります。
 司法書士は、家庭裁判所に提出する特別代理人選任申立書を作成する事ができます。
遺産分割協議にあたり特別代理人の選任が必要な場合は、当事務所にご相談ください。
【参考】未成年者の特別代理人が参加する遺産分割と相続登記

相続人の中に行方不明者がいます。遺産分割協議にあたり必要な手続きを教えてください。

行方不明といえども、その相続人を除外して遺産分割協議を行うことはできません。
この場合、一般的には行方不明者のために利害関係人が家庭裁判所に『不在者財産管理人』の選任を申立てます。
家庭裁判所により選任された不在者財産管理人が家庭裁判所の許可を得たうえで、行方不明者である相続人の代理人として遺産分割協議を行います。
 司法書士は、家庭裁判所に提出する不在者財産管理人選任申立書を作成することができます。
相続人の中に行方不明者がいる場合は、一度当事務所にご相談ください。
【参考】不在者財産管理人が参加する遺産分割と相続登記

相続登記に必要な書類を教えてください。

 

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